入魂のロックンロール、アナログ・テープ一発録り、即ハイレゾへ! ——THE MACKSHOW、最新作の新たな道
皮ジャン、リーゼントに黒サングラス、手に持つヴィンテージ楽器で鳴らすのは思わず腰をスウィングし、共にシンガロングしたくなるような…… そう、これぞロックンロール! 万人が思い描く"ロック"のイメージを体現したかのような3人組バンド、THE MACKSHOW。彼らの最新作、3人の男がシンプルな3コードで鳴らす熱狂の3分間――『スリー・ホット・ミニッツ』と名付けられたフル・アルバムが登場です!!
今回はなんと24bit/96kHzの高音質で配信!! バンド自身初となるハイレゾ配信ですが、彼らとしては以前より待望していた様子。というのも彼らが従来取り入れている、アナログ・テープへの一発録り。この元となるアナログの音をデジタル化する際、"CD"では収められる情報量の小ささから音の細かなニュアンスが削られてしまいますが、"ハイレゾ"では収められる情報量が大きく、よりきめ細やかに、そのアナログの音を再現できるのです。
彼らが録ったとき、聴いてほしいと思った音は、ここにあります。ハイレゾへの関心を語ってくれたインタヴューとともに、ぜひ!!
THE MACKSHOW、自身待望のハイレゾでリリース!
THE MACKSHOW / THREE HOT MINUTES -3人はアイドル-
【配信価格】(各税込)
【左】(ハイレゾ)
ALAC/ FLAC / WAV(24bit/96kHz) :
単曲 324円 アルバム 2,916円
【右】
ALAC/ FLAC / WAV(16bit/44.1kHz) :
単曲 250円 アルバム 1,800円
mp3 : 単曲 199円 アルバム 1,500円
【Track List】
01. スリー・ホット・ミニッツ(インストゥルメンタル) / 02. ノーバディ・ガール / 03. 恋のワンウェイ・ドライブ / 04. あの娘はバタフライ / 05. 今夜はリーヴ・ミー / 06. グロリア / 07. いかしたスキニー・タイト / 08. リメンバー・ユー / 09. ティミー / 10. 彼女はナンバー・ワン / 11. 恋はハンキー・パンキー / 12. DRIVE ME CRAZY / 13. ラスト・ウィークエンド
INTERVIEW : コージーマック&トミーマック(THE MACKSHOW)
日本随一の3ピース・ロックンロール・バンド、THE MACKSHOWが新作アルバムで初めてOTOTOYからハイレゾ(24bit/96kHz)配信をおこなう。音楽をよりクリアに、臨場感あふれる音で伝えるということは、逆に言えば細かいミストーンやヴォーカルの音程のヨレさえもパッケージされてしまうということであり、ロック・バンドにとっては演奏力を問われることでもある。そういった意味では、ライヴで培ってきたグルーヴを余す所なく伝えることができる高音質配信をTHE MACKSHOWが選択したのは、ロックンロール・バンドとしてごくごく自然な進化ということが言える。今回、コージーマック(Vo, Gt)、トミーマック(Ba)の2人に話を訊くことができた。彼らが抱く音楽への想いを知ると共に、カリフォルニアの空の下で録音された極上のロックンロールを是非高音質で体験してほしい。
インタビュー&文 : 岡本貴之
LAのスタジオに行って、楽しみながらやっちゃおうと
――これまでもTHE MACKSHOW(以下、マックショウ)の作品はOTOTOYから配信されていますが、今回初めて24bit/96kHzのハイレゾ版が配信されるということで、詳しくお訊かせいただきたいんですが、まず昨年『狂騒天国』を発売してから長いツアーもありましたけど振り返ってみていかがですか?
コージーマック(以下、コージー) : もう、(ツアーが)どこからどこまでなんだっていうね。
トミーマック(以下、トミー) : そうだよね(笑)。
――ツアーとしては昨年8月から今年4月の東京キネマ倶楽部のファイナルまでということですね。
コージー : やっぱりどんどん増えているというか、ライヴを観たがる人も多いし、こっちもそれだったら行こうかって。観たいという人たちがいる限り、その場にいて生で演奏するのが僕らの信条だし、それが1番良いのかなって。ここ2、3年は特にそう思いますね。
――前作ではここ(自社スタジオのROCKSVILLE STUDIO ONE)で録音して、しかも1回出来たものを最初から作り直したりとかなり煮詰めた作品でしたけど、今回LAで録音したのはどうしてですか?
コージー : そもそもマックショウというのは(それ以前のキャリアを含めると)プロのプレーヤーとしてやっている期間が長くて、色んなことをやっているなかで「なんでCDは自分の思っている音にならないんだろう?」という気持ちがあって、エンジニアとかスタジオとかじゃなくて全部自分たちでやっちゃおうということでスタートしたものなんです。Pro Toolsとか出てきて、リリースまでの敷居が下がった時期で。わりとお金かけなくても録音の機材とか簡単に手に入るということでやったんですけど、5、6年やった時点で「これはちょっと違うな」って気が付いて。ずっとレコードを聴いてきた世代だから、やっぱりバーチャルに粗いものと実際に粗いものとは違うんだなって。それで結局アナログの録り方に戻っていって突き詰めると「あれ? これ普通のレコーディングだな」って(笑)。
――ひと周りして戻ってきた、と(笑)。
コージー : 普通にプロに任せたほうが良い音になるんだなって(笑)。ただ、それを最終的に形にするときに問題があったというか。最終的にアナログ・テープに保存していて、そこですごく臨場感がある自分たちの思う"良い音"というのが録れてはいたけど、CDだとその音で入らない。そのなかで試行錯誤を重ねたのが前作までなんです。でもここ何年かは高音質配信で聴いてる人が増えてきて自分でも聴いてみて「あ、やっぱりレッド・ツェッペリン聴いたら違うな!」とかを肌で感じて。今回はそこを踏まえた上でマスターをCDとハイレゾで2種類作ろうということでやりました。ただこういうやり方(自社スタジオでの録音)だとドラムとか楽器の響きがないんで、そこを良い響きで録るにはそれなりのスタジオに行ってやるしかないということで、じゃあLAのスタジオに行って、楽しみながらやっちゃおうと。
――以前『GREASY!』をレコーディングしたスタジオですか?
コージー : いや、僕のソロを録ったところです。『GREASY!』を録ったスタジオは良すぎましたね。「サンセット・サウンド」っていう名門中の名門なんですけど(※ローリング・ストーンズやビーチボーイズ等、歴史的名盤が数多く録音されたスタジオ)。今でもスケジュールがほとんど埋まってて取れないらしくて。以前は何かの間違いで取れたみたいだけど(笑)。
トミー : (笑)。
コージー : 今回は倉庫みたいなところを開けたらスタジオがあって、でも機材は昔ながらの良い機材もあるし部屋の響きもすごく良くて。「キングサイズ・サウンドラボ」という場所です。機材もある程度持って行って。
トミー : 大変だったけどね(笑)。
空間にまだ自分たちの入り込む余地があるというか
――今回も全部一発録りですよね。
コージー : そうです。録る時点で出来上がってない曲もあったんで、リハーサルしつつ、出来たら録って。音数も少ないし臨場感も上手く録れたというか。やっぱり色々凝ってアレンジしたり色んな音によって空間も見えにくくなるんですけど、楽曲にとって一番良い形というのがもちろん良いので、そのためにシンプルにやって良い響きになるのを狙いながら。でもテイクは2、3回。“ちょっとミスった"とかそういうことじゃなくて、グルーヴ感とか空気感をメインで考えるようになるというか。カリフォルニアに行くと「まあいいか!?」みたいな。「良いんじゃない? 考え方によっては?」って(笑)。
トミー : あははははは! そうだよね。
――その空気感も含めて録音した作品を高音質で聴かせたい、というのはライヴを録音して高音質で聴かせるのとは全然違いますか?
コージー : ライヴというのはその場の一回限りの空気感だし、まだまだ研究の余地があるというか、機材が限られてるんですよ。スタジオじゃないし、いつ機械が止まっちゃうかもわからないなかで、わりとセーフティーな録音の仕方をするしかないんですよ。録りこぼしたら大変だから。でもそれの良さもありますよね。キネマ倶楽部のライヴのときも、有名な方にお願いしたんですけど、やっぱりその辺の空気感を捉えるのがうまいというか。その人はキャロルの野音でやった解散ライヴも録ったということで、それだけで僕の中でめっちゃ評価が高いんですよ(笑)。
――やっぱりそういったキャロルやビートルズといったロックンロールの歴史に則ったものというのは…。
コージー : もちろん、大きいですね。今回ハイレゾ配信するのも、そこっていうか。僕たちレコードを聴いてる世代って「え? これどういう風に録ったんだろう?」というのをレコードを回転させながら想像するしかなかったというか。例えば、最近よく聴くんですけど、エルヴィス(・プレスリー)のレコーディングって、たぶんマイク一本しかないなかでエコールームとか使って「じゃあベースはここに立って」「ドラムはもっと後ろに置いて」とかそれぞれの位置を調整して録ってると思うんですけど、それを聴くと「ん? どこに(ベースの)ビル・ブラックが立ってるんだ?」みたいなとこまで聴きたいけど、それは想像するしかないというか。「音色プラス想像力」というかね。それを、高音質の配信を聴いたときにそう思ったわけ。今回のアルバムに関しても、高音質をダウンロードして聴いたらそういう音の位置まで「ああ、こういう感じだったんだな」って想像して聴けるようなものになってると思います。専門的に言うとヘッドルームが高いと余裕のある音で入れられるんで。CDだと音がパンパンになって入っているような感じなんだよね。それが(高音質配信だと)余裕があるように僕には聴こえたんです。空間にまだ自分たちの入り込む余地があるというか。
――それをCDにすると窮屈な感じがするんでしょうか。
トミー : もうなんかね、窮屈な上においしいところがなくなってるような。
コージー : もともと良い録音をしてるんだろうけど、お弁当に思いっ切り詰め込んじゃってるみたいな感じがここ最近続いてたような感覚を僕は持ってるんですよ。こんなこと言うと味も素っ気もないけど(笑)、デジタルだと言ってみれば数字が並んでるだけというか。それを2008年くらいに僕は気が付いちゃったんですよ。僕はガレージとかも好きだし、ああいう音を作っていって、綺麗に録れてる昔ながらの音も好きで、「なんでそういう音にならないんだろう?」って考えたら、「これはコンピューターだからならないんだ。」って。一回解析してる音というか。それに気が付いたというか。これはやっぱりデータが並んでるだけじゃ駄目なんだ、と。
――なるほど。
コージー : 聴く方も、ただ情報を並べてるだけになっちゃってるし。iPodとかiTunesとかで。前は「家にレコードのコレクション見に来る?」って言ってたと思うんですけど、今は(スマホを見せるように)「ほらこんなに持ってるんだ」とか。で、人の心理として「全部ないと嫌だ」みたいなものがだいたい揃っちゃったというか。だからハイレゾっていうのは、また新しい楽しみ方を音楽ファンに提供してくれるのかなという気はしてますね。
――アナログテープで録音するととにかくレコードで出したいという方もいると思うんですけど、現実的な聴かれ方としては配信が普及しているわけで、マックショウはアナログ録音の音質を届けられるより良い方法としてハイレゾ配信をやってみた、ということですね。
コージー : そうなんですよ。例えば僕らはアナログレコードも作って出すけど、プレーヤーを持ってる人が少ないからね。でもハイレゾ配信についても機械を持ってる人がまだそんなに多くないというかね。だからレコードよりさらに上を行っちゃう可能性もあるんじゃないかなと思う。
うちらは元の録音の良さとか、よりアナログの良いところを抽出して出せるんじゃないか
――それは今回レコーディングしてみて確信した部分があったんでしょうか。
コージー : ありますね。それは音が良いとかじゃなくてね。ノリですよ、ノリ。音楽なんてノリだよね。
――マックショウがリスナーに聴いてほしい音のニュアンスって言葉にするのは難しいかもしれないですけど、トミーさんどうですか?
トミー : 音っていうよりもグルーヴっていうか、「ワ~!」ってやってるあの感じ、やっぱり聴くとマックショウって音が独特だと思うんですよ、他と比べると。その感じがもっとよりわかるというか。確かにハイレゾで聴くと「ああ~こうだよなあ」って。これがマックショウだ、みたいなものが伝われば良いなと思いますね。
――今作は『狂騒天国』に比べるとちょっとメロウなミディアム・テンポが多いですね。
コージー : 自然とそうなりました。録った曲は20曲くらいあったんですけど、そのなかから音質とかノリとかグルーヴとか雰囲気が良いものを中心に選んだんで。結局、部屋の響きと自分たちのグルーヴでテンポがゆったりしたものを選んじゃったっていうことなんですよ。それはその雰囲気をお客さんに聴いてもらいたいから、「いつもよりテンポの良い曲が少ないな」っていう決め方はしないで、自然に決めました。1曲目の「スリー・ホット・ミニッツ」なんかは元々は普通にヴォーカルのパートもあって、3分くらいの曲だったんだけど、極力シンプルな曲にしたんです。そしたら「あれ? 歌いらなくない?」「ソロいらなくない?」ってつまんでいったら編集をほどこしてああなったという。逆に最後の「ラスト・ウィークエンド」は編集も何もない、ヴォーカルも録ったまんまです。
トミー : 「どうする?」「いいんじゃない?」って。
――アルバムの内容でいうと、曲調はこれまで通りのロックンロールなんですが、今回は特に初期ビートルズ的なニュアンスを匂わせていますよね。「ノーバディ・ガール」のサビのコード感なんかが好きなんですけど。
コージー : ああ、まんまと狙い通り(笑)。向こうのエンジニアのリチャード・ロビンソンはまったく日本語を理解しないんだけど、「ノーバディ・ガール」を演奏したときに「これがシングルだ。ドアーズみたいだ!」って。全然違うけど(笑)。そういう受け取り方なんだ、みたいな。印象っていうのは人によって全然違うというか。情報が何もないから、フラットに曲を聴いて、でもこのアルバムの中でこの曲すごい良いなって言ってました。
――今回もコージーさん以外の2人がメイン・ヴォーカルを取る曲がありますね。
コージー : トミーは「リメンバー・ユー」っていうミディアム系の曲になって。最初は頑なに拒否してたんですけど。
トミー : テンポがある方がごまかせるかと思って(笑)。でも曲的にはミディアムの方が好きなんです。だから今回のアルバムは好きなんですよ。
――お話を伺ってると、ライヴにせよアルバムにせよ常にリスナーや時代に求められているものに応えようとしていますよね。
コージー : それはね、たぶん僕がいまだにリスナーだからですよ。CDも買うし、配信も人一倍買ってると思います。音楽はなんでも好きなんで。今回はスタッフのほうからハイレゾ配信を始めてみようという話があったんで、それに対して研究してからやりましたね。俄然楽しいですよね。気持ち的にはリスナーだから。
――リスナーもマックショウの音楽とハイレゾ配信が結びついているのがおもしろいと感じるんじゃないかと思います。
コージー : OTOTOYでハイレゾ配信をやる上で、他のアーティストが“どこをハイレゾで聴かせたいのか"というのを意識して色々聴いてみたんですよ。うちらは元の録音の良さとか、よりアナログの良いところを抽出して出せるんじゃないかというのを思ってるんですけど。それをサイトの小さいジャケットの写真と文章でみんなが語ろうとして並んでるわけじゃない。そこですよね、今度はね。その一枚のアーティスト写真と短いキャプションで「お、ちょっと聴いてみようかな」っていう風に並べば良いなと思いますね。だからマックショウのジャケットがそこにポンって出て「あれ? この人たちハイレゾなの!?」みたいな(笑)。
一同 : (笑)。
――そこにきてこのジャケットがすごく活きてきますね(笑)。
コージー : そうそう(笑)。たぶん見る人はなんとなくわかると思うんですよね。「これはアナログ感の良さを打ち出してる人たちなのかな」みたいなことを。なおかつマックショウのお客さんというのは、もちろん音楽ファンもいるんですけど、そうじゃない人も多いんですよ。CDなんて買ったことがないみたいな。そういう人たちがサイトに行ったときにどうするかでしょうね。「高音質で聴いてどうするんだ?」「プレイヤーはどうするんだ?」っていう。だから今はちょっと心配ですね(笑)。「トラックの中でどうやって聴くんだろう?」とかね(笑)。
――今回はそういうことを提案していく意味でも第一歩というか。
コージー : 要は“ノリ"なんでね、ハイレゾっていうのは。例えばこれまでベースの帯域が削られちゃってたというのが出せるというは、“ノリが出せる"ということだから。そこはロックンロールだろうがヒップホップだろうがパンクだろうが、同じだと思うんですよね。作りの良さというのを聴いてもらいたいですね。ただOTOTOYのサイトに並ぶと違和感はあると思うけど(笑)。
過去作品
LIVE INFORMATION
『THREE HOT MINUTES -3人はアイドル-』発売記念全国ツアー
スリー・ホット・マックス’89
2014年11月8日(土)@富山SUMMER KNIGHT
2014年11月16日(日)@福知山SOUND RAT
2014年11月22日(土)@守山BLUE
2014年11月23日(日)@下北沢GERDEN
2014年11月28日(金)@鹿児島SRホール
2014年11月29日(土)@唐津RUSH
2014年11月30日(日)@宇部ZANCRO BLUES
2014年12月7日@中津川マジョリカ・ジャンゴ
2014年12月20日(土)@吉良ロデオ
スリー・ホット・マックス’90
2015年1月31日(土)@本八幡サードステージ
2015年2月1日(日)@宇都宮POP GARAGE
2015年2月7日(土)@名古屋ELL FITS ALL
PROFILE
THE MACKSHOW
KOZZY MACK コージーマック(Vo.Gt)
TOMMY MACK トミーマック(Ba.Vo)
BIKE BOY バイクボーイ(Dr.Vo)
共に広島市出身・THE COLTSのメンバーである岩川浩二(コージーマック/Vo,Gt)とトミー神田(トミーマック/Ba,Vo) を中心に昭和七十七年(2002年)結成。まさに絶滅寸前・壊滅状態であった日本ロックンロール界に、覆面グループとして突如彗星のごとく現れ、全国のグッドオールド・ボーイズ~コアなロックンローラーから、ヤングなロックンロール・ファンまで震撼させる。持ち前のトゥスティン・ビートにグッドメロディは初期ビートルズやキャロルがそうだったように、愚直なまでに正直で、どこまでもシンプル。踊れて笑えて、泣けて歌えてグっと来る、シンガロング・ロックンロール。王道をさらに発展させた活動を精力的に進行中、最新型「俺たちの」ロックンロール・バンド!
>>THE MACKSHOW(B.A.D RECORDS UNITED) Official HP