ヴァーチャル・シンガー理芽がはじめて語る、これまでの軌跡──彼女は、いかに音楽の世界に飛び込んだのか
花譜やカンザキイオリら若き異能たちが集結した、YouTube発のクリエイティヴレーベル「KAMITSUBAKI STUDIO」。そのなかでも、新たな才能として注目されているのが、ヴァーチャル・シンガーの理芽だ。2019年より、当時17歳で活動をはじめた彼女。シンガー・ソング・ライターの笹川真生とともに作り上げた楽曲は多くの支持を集め、じわじわとファン層を拡大している。今回OTOTOYでは、メディアでインタヴューを受けるのははじめてと語る彼女に、これまで語られてこなかったパーソナルな部分やニュー・アルバム『NEW ROMANCER』について訊きました。
理芽ファースト・アルバム『NEW ROMANCER』ハイレゾ配信中!
INTERVIEW : 理芽
インタヴュー&文: 西田 健
理芽の歌声は、とにかく美しい。その透き通るような歌声は、時に儚さを感じさせながらも、自然と感情を揺さぶられる。今回リリースされる初のフル・アルバム『NEW ROMANCER』には幅広いジャンルの楽曲が収録されているが、今作の完成度を高いものに仕上げている軸は、間違い無く彼女の歌声である。また、理芽の活動の特異性は、日本のみならず、海外のアーティストにも目を向けていることにある。様々な世界を飛び越え、あらゆる音楽を吸収して成長していくシンガー、理芽。彼女はこの先、間違いなく大きな花を咲かせるだろう。
両親がカーペンターズの曲を流しているのを聴いて、「なんだこれは!」って
──理芽さんが活動をはじめたのは、2年前の2019年の10月。17歳の頃だったんですよね。
理芽 : そんなに若かったんですね(笑)。当初は、歌手になりたいとか特別なことはなにもなくて。ただ音楽が好きというだけの人間でした。趣味として、aikoさんやちゃんみなさん、RADWIMPSさんの曲を歌って、とある音楽アプリにあげていたんです。本当にジャンル問わず自分の好きな曲をただひたすら歌ってました。そういう活動をしているときに、KAMITSUBAKI STUDIOの方に声をかけていただきました。
──どれくらいの時期から音楽は好きだったんですか?
理芽 : 幼い頃から音楽は近い存在でした。家庭のなかでも、ずっと音楽が流れていました。毎週お父さんとCDレンタルショップに行って、自分たちが好きそうなものを借りて、それを流してということをやってましたね。
──理芽さんは、カヴァーされている音楽のジャンルの幅が広いですよね。
理芽 : あんまりジャンルでこだわったりしていないのかもしれないです。自分の新しい発見で音楽を聴いたりするのが好きなのかな? いろんなジャンルに興味がありますね。好きなものが多すぎるからなのかもしれないんですけど、こだわれないし絞れない。優柔不断なのかもしれないんですけど、良いものは良いですね。
──これまで聴いてこなかったジャンルの曲ってありますか?
理芽 : 実はあたし、ボカロをあんまり聴いたことがなかったんです。でも、この活動をはじめて、たくさんボカロの楽曲を聴いていくうちに、だんだん良さが分かるようになりました。ボカロの良いところって作った人の感覚だけじゃなくて、表現が人それぞれで変わってくるので、歌い手さんによって曲の雰囲気がひとつひとつ違っていくのがおもしろいんですよね。人間では表現できないような繊細さにも、気づかされました。
──理芽さんは、海外のアーティストの曲もたくさんカヴァーされていますよね。
理芽 : 幼い頃、両親がカーペンターズの曲を流しているのを聴いて、英語の歌いいなって思ったんです。当時は全然わけがわからなかったんですけど、「なんだこれは!」っていう衝動に駆られました。そこから海外の歌だったり、英語の勉強をするようになりました。
──なるほど。海外のアーティストで注目している方はいますか?
理芽 : 最近は、keshiさんというシンガー・ソング・ライターの方が好きですね。ニューヨーク在住の方なんですけど、歌詞の内容やメロディだったり曲の雰囲気がとても好きです。
──普段から、好きな音楽を探して聴くタイプなんですか?
理芽 : 探しているのかもしれないですね。ふと街の中で流れている曲を、歌詞とかShazam (音楽検索アプリ)で探しています。友達と一緒にいるときでも、こっそり探します(笑)。おすすめで出てきた曲も聴いて、「またいい曲見つけた! あ、これもいい曲!」みたいなそんな感じでどんどん自分の好きが広がっていっている感じです。