フジテレビ関係者の女性が中居正広氏から性加害を受けたという報道が始まって1カ月。この事態を受けて女性アナウンサーが声を上げはじめた。コラムニストの藤井セイラさんは「1月23日に中居正広氏が芸能界引退を発表したが、それで済む問題ではない。フジテレビはもちろん、芸能界全体の転機とすべきだ」という――。

女性アナはどう扱われてきた? 視聴者から疑問のまなざし

フジテレビのみならずテレビ業界における女性アナウンサー、女性社員はどう扱われてきたのか? 華やかな職業に見えながら、報道や番組進行といった本来の仕事の他に、性接待を強いられることはなかったのか?

視聴者にそんな疑念を抱かせているのが、中居正広氏の報道に端を発するフジテレビ問題だ。

お台場のフジテレビ社屋
撮影=プレジデントオンライン編集部
お台場のフジテレビ社屋

2025年1月23日、地上波のテレビで多数の司会番組を持ち、芸能界の頂点にいた中居正広氏が引退を発表した。この事態に至ったのは、引退発表文にも「相手さまに対しても心より謝罪申し上げます」とあるように、中居氏本人の行動が原因だが、フジテレビというひとつの大企業の体質も問われている。

1月17日、ワイドショーや夕刊が間に合わない「金曜午後3時」という絶妙な時刻に、フジテレビ港浩一社長は記者会見を開いた。しかも阪神・淡路大震災から30年という関連ニュースの増える日に重ねてだ。

そのような小狡いタイミングで閉鎖的な会見を行い、かえってガバナンスの脆弱ぜいじゃくさを露呈したフジテレビ。スポンサーの反応は素早く、たった2営業日で75社を超す企業がCMを停止した。キッコーマンにいたっては1社提供の長寿ミニ番組「くいしん坊!万才」の放送取りやめを発表した。

社長会見後、真摯な調査を訴えた宮司愛海アナに声援

非難轟々となった社長会見の夜、フジのニュース番組「Live News イット!」では宮司愛海アナウンサーが「調査はもちろん、社員に対する説明もしっかりと真摯しんしに行って、それを真摯に公表してほしい」と口元を引き締めて話した。

社内説明を願うのは、本来なら「内向きの声」ではあるが、もしかすると社員の声を経営に届ける構造がフジにはなかったのでは、とも考えさせられるコメントだ。

宮地アナは「一連の問題の大元、根本にいったい何があったのかということをしっかりと第三者の目を入れて調べてもらう。そして会社が生まれ変わる一歩にするべき」と話し、この姿にはSNSで賛同や応援の声が集まった。

第三者委員会の設置は、海外投資家・ライジングサンマネジメント社(ダルトン・インベストメンツ系)からの1月14日付のレターでも求められていたことだが、フジ会見では、港社長自身を含めた調査委員会を検討しているようだった。

だが、むしろ社長は「調査される側」だろう。なぜなら、「報道機関」の「幹部主導」で「女性の上納」が行われていたのではないかということが、この疑惑の最大のポイントなのだから。1月23日発売の「週刊文春」には、「フジ港浩一社長はX子さんに謝罪しなかった」「女子アナと毎月飲み会・港会」といった見出しが躍る。