少女漫画誌付録「りぼん」は『忍たま』、「ちゃお」は『名探偵コナン』ヒットのカギは他誌の人気作起用?

少女漫画誌付録ヒットのカギは他誌人気作?

■「りぼん」に『忍たま』付録で品切れ続出

  昨年12月27日発売の少女漫画誌「りぼん」2月超特大号(集英社/刊)が発売直後から全国の書店やコンビニで品切れになり、SNSを中心に大盛り上がりとなった。例年、2月号は新年号ということもあって、各誌豪華な付録がつくことで知られる。今回の「りぼん」も豪華付録が目白押しで、漫画家12人の描き下ろしイラストつきのスぺシャル手帳が目玉となっている。

  そして、ネットで大人気となったのが『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』の「土井先生&天鬼 キラきゅんシール」だった。合わせて、土井先生役を務める人気声優・関俊彦のインタビューも掲載されている。SNSでは「シール欲しすぎる」「土井先生かっこよすぎる」などのコメントが多数書き込まれており、シールを目当てに「りぼん」を購入する女性ファンが相次いでいる様子だ。

 『忍たま』は1993年から放送されているアニメが現在も続いており、NHKのアニメでは最長寿作品の一つとして知られる。子ども向けのアニメとして始まったが、男性キャラに対して女性ファンが数多くついている作品としても知られている。ネットにはファンアートが投稿されており、コミックマーケットなどの同人誌即売会では数多くの同人誌が頒布されるほど、不動の人気を誇っている。

■付録は“紙もの”に原点回帰?

  近年、少女漫画雑誌では、他誌の人気作品とコラボした付録が数多く出ている。例えば「ちゃお」では『名探偵コナン』の付録が大人気で、昨年8月号の「推しに誓ってご尊顔リング」が話題になった。これはコナンたちの顔がなんと指輪になるクリアシートで、編集部が「指にはめて推しとず~っと一緒にいられちゃう&推しへの永遠の愛をアピールできるファンマストアイテム」と謳っている。

  また、今年発売された女性週刊誌「女性セブン」2025年1/16・23合併号では、4月18日に公開される劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』のオリジナルシールが付録になった。こういった意外な組み合わせの付録はSNSでの反響も大きく、従来の読者だけでなく新規読者の獲得にもつながりそうである。

  雑誌の付録といえば、一時期のファッション雑誌のように、実用できるレベルのブランドのバッグやポーチなどの豪華な仕様で部数競争がなされた例もあった。また、「ちゃお」には「おそうじロボ」など、実用できる“家電”が付録になったこともある。2000年以降の雑誌は付録の豪華さが格段に上がり、その作りこみの良さやハイテクさが競われた時代だったといえる。

  しかし、最近はシールなどの昔ながらの“紙もの”に原点回帰するような動きもみられる。「りぼん」の『忍たま』のシールや、「ちゃお」「女性セブン」の『コナン』グッズもそうした事例の一つといえよう。なんだかんだ言っても、紙は雑誌の付録の定番であり、永遠の人気なのかもしれない。そして、人気作品とのコラボであれば反響を呼ぶことができることがよくわかる。

書誌情報

媒体名:「りぼん」2025年2月超特大号
発売日:2024年12月27日(金)
特別定価:690円(10%税込)
ページ数:644ページ・B5判
連載作品:『ハニーレモンソーダ』(村田真優・著)、『初×婚』(黒崎みのり・著)、『絶世の悪女は魔王子さまに寵愛される』(朝香のりこ・著 原案:*あいら*)、『青に落雷』(虹沢羽見・著)、『拾った戌井くんと恋をする』(行村コウ・著)など
とじ込み付録:「土井先生&天鬼 キラきゅんシール」
特別付録:「りぼん2025スケジュールブックset」
集英社刊

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