木戸大聖、夢を叶えた幸せと新たに芽生えた思い 「ここで止まってちゃいけないな」
NHK総合で放送中の夜ドラ『バニラな毎日』は、賀十つばさの同名小説を実写化したスイーツ・ヒューマンドラマ。夢やぶれたパティシエ・白井葵(蓮佛美沙子)とクセの強い料理研究家・佐渡谷真奈美(永作博美)が始めた“たった一人のためのお菓子”教室で、孤独な人々の心が癒されていく様を描く。
そんな本作に第2週から登場し、チョコレートケーキのオペラを作りたいとお菓子教室に現れる秋山静を演じるのが、木戸大聖だ。数年前まで、人気ロックバンドのボーカルとして活躍していたという役柄で、SUPER BEAVERが手がけた劇中歌の歌唱にも挑戦する。その歌唱シーンに先駆け、木戸に手応えと同じ表現者として共感した部分、今後の展望などを聞いた。【インタビューの最後にはサイン入りチェキプレゼント企画あり】
ミュージシャン役は「すごくいいチャレンジ」
ーー木戸さんは2018年から3年間、子ども向け番組『おとうさんといっしょ』(NHK BSプレミアム)にレギュラーとして出演されていましたが、NHK放送センターに来ると(※取材当日はドラマの記者会見が行われた)、「帰ってきた!」という感じがしますか?
木戸大聖(以下、木戸):やっぱりしますね。先ほど、当時番組を撮っていたスタジオの前を通って懐かしい気持ちになりました。
ーーNHKドラマには初めての出演となりますが、心境としてはいかがですか?
木戸:純粋に嬉しいです! NHKドラマの現場はどんな感じなのかなということも、以前から気になっていました。今回は最初に1週間分のリハーサルをやって、翌日から本番だったんですが、リハの段階で共演者の方や監督とじっくり打ち合わせができている分、非常にやりやすかったですし、本番で元のプランをブラッシュアップしていく過程も新鮮で面白かったですね。
ーー今回演じる秋山静について、木戸さんはどういうキャラクターだと捉えていますか?
木戸:ロックバンドのボーカルって言われたら、強い人をイメージするかもしれないですが、全然そんなことはなくて。彼自身、自分を取り繕って強いふりをしているけど、本当は弱いところがたくさんあるキャラクターです。常に世間からのプレッシャーや表現し続けていくことの難しさを感じていて、演じながらアーティストの方々へのリスペクトが増しました。
ーー第7週では歌唱も披露されますが、木戸さんは昨年発売された写真集『HANA-UTA』のタイトルにもなっている鼻歌をよく口ずさんでいるのだとか。
木戸:そうなんです(笑)。もともと、音楽を聴くことはもちろん、歌うことも大好きでした。ただ堂々と聞いてくださいって言えるようなレベルではないので、最初は「僕でいいの?」って心配になりましたけど、今となってはすごくいいチャレンジになったなと思います。
ーー歌唱シーンの撮影までに、どのような準備をされたのでしょうか?
木戸:最初の頃はパフォーマンスの参考にしようと思って、いろんなロックバンドのライブ映像を観ていたんですが、どうも静のキャラクターにしては強すぎる気がして。その時に、「あ、SUPER BEAVERさんだ」と思ったんです。SUPER BEAVERさんが書き下ろしてくださった曲を歌うんだから、皆さんのことを知ろうと思って、ライブ映像を観たり、ボーカルの渋谷龍太さんが執筆されたエッセイを読んだりしました。渋谷さんの境遇が少し静と重なったりして、自分の中でイメージがどんどん深まっていきました。
ーー放送は3月ですが、SUPER BEAVERさんが手がけた劇中歌を聴いてみての感想を少し教えてください。
木戸:それはもう、とてつもなく素敵な楽曲でした。今すぐ聴いてほしいくらいですけど、ストーリーを踏まえた上で書き下ろしてくださった曲なので、最初はドラマの中でお楽しみいただけたらなと思います。実は、そのシーンは白井さんが人生で初めてライブに行って、そこで静の新曲を聴くという設定なので、蓮佛さんも本番までは一切聴かず、スタッフさんも不意に聴かせないようにしてくれていたんです。しかも、本番はほぼ一発撮りで。
ーーすごい緊張感がありますね。ご自身の感触としてはいかがでしたか?
木戸:もちろん、歌の上手い下手で言えば、もっと上手な方はたくさんいると思います。ただ他のどんなに歌が上手な人より、白井さんの心に響くように歌えるのは静だけだと僕は自負していますし、そこに関してはやりきったなと思えるので、ぜひ楽しみにしていてください。
ーー最初は静の軽薄な言動が白井さんを困惑させていましたが、またここから関係性が変わっていくのでしょうか?
木戸:2人は一見、タイプが違うんですが、静は音楽、白井さんはお菓子作りで、一つのことに人生を注いでいるところは共通しているんですよね。だからきっと、視聴者の皆さんも回を追うごとに「この人たち似てるな」と思っていただけるんじゃないかなと。静は2週目以降もちょくちょく登場するので、2人の関係性の変化や、静の成長にも引き続き注目していただけたら嬉しいです。