2025年3月2日(日)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年1月28日

 世界全体での水産物の生産量(漁業と養殖)は増え続けています。しかしながら我が国は対照的です。2023年に続き、24年の生産量も、過去最低を更新していることでしょう。

 全国1、2位を争う釧路、銚子の漁獲量は前年を下回っています。海水温上昇・外国が悪い? いいえ、資源量が減って漁獲量が減り続けている問題の本質は別にあります。

クロマグロと2歳児(筆者提供)

 上の写真は200センチメートル(㎝)のマグロと90cm(2歳)の子供です。ようやく資源管理で太平洋クロマグロの国別の漁獲割当制度が機能し始め資源は回復傾向にあります。24年12月の中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)で、我が国に30キロ以上のクロマグロで50%、30キロ未満で10%の漁獲枠の増加が認められました。

 ところで、筆者が昨年(24年)9月にノルウェーで見てきたクロマグロはすべて200㎝以上で、体重は平均で275キロもありました。年齢は15歳以上です(下のグラフ)。

 上の写真のようなマグロがノルウェーで漁獲されている平均サイズです。日本では「大物!」とニュースになるようなサイズが普通に漁獲されていました。

ノルウェーで続々水揚げされる巨大クロマグロ(筆者提供)

 一方で、日本の場合、尾数でいえば9割以上が2歳以下です(下の表)。当たり前ですが、2歳児は突然15歳になりません。なお日本では2歳児どころか0~1歳児の漁獲が主体なので、当然大きなマグロは少なくなります。大きくなる前に魚を獲ってしまうことを「成長乱獲」と呼びます。

 成長乱獲で何が起きるか。2歳児は親ではないので子供を産めません。大きくなってしまう前に獲ってしまって親の魚が激減してしまう。

 そして最後には子供の魚までいなくなって魚がいなくなる。この繰り返しが、全国でほとんどの魚種で起きているのです。必然的に魚は消えて行きます。


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