現地時間、2月7日に訪米中の石破茂首相は、ホワイトハウスでトランプ大統領との初の首脳会談を行った。今回の首脳会談については、日本では過敏とも言えるような関心が向けられているが、アメリカの世論やメディアには、そのような関心の高さはない。そのことの意味を含めて、今回の会談の意味、アメリカ社会の反応を冷静に考えてみたい。
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共同会見の9割がアメリカ内政問題の意味
まず、アメリカ側の関心の高さであるが、通常の友好国との首脳会談のパターンに近いものであった。例えば政治専門局のCSPNは、議会中継など通常の番組を中断して扱うことはしなかったが、ネットでは石破氏の到着の様子を流し、またリアルタイムで共同会見の中継をしていた。主要なニュース局のCNNは、直前まで内政問題の報道をしていたが、共同会見が始まると全面的に中継に切り替えて、最後の質疑応答まで全部を放映した。
問題は、共同会見における質疑の場である。アメリカ側の記者達は自分の持ち時間のほとんど9割を使って、アメリカの内政問題に関する大統領への質問で終始しており、日米関係に関する質問は限られていた。とりわけ、政府効率化省による冗費削減や人員整理の激しい介入が各省庁に対して行われている問題は、現在進行形であり、大統領に直接質問ができる貴重なチャンスとばかりに、石破氏を無視するかのように質疑が続いた。
日本側としては、あまり愉快ことではない。けれども、海外出張中の日本の総理大臣に対して、相手国との共同会見中に番記者が国内政局について質問攻めにすることは、実は良くある。その裏返しと考えれば理解できるだろう。
もっと言えば、日米首脳会談が終わり、共同会見において両首脳が会談結果を報告したその場で、アメリカ側の記者達がアメリカの国内問題に関する質問ばかりするというのは、日米関係には特段の懸念材料がないことを証明していると言える。特に厳しく突っ込んで調べて報道しなくてはならないような、疑問点や対立点はないということだ。
一見すると、まるでアメリカの記者達は日本や日米関係に関心がないように見えるが、そうではない。日米関係はとりあえず安定しているということの証明だと考えるのが正しい。