阪神・淡路大震災から30年となった今年、政府は防災庁の創設準備を本格化させる。2026年度中の創設を目指し、昨年11月に設置準備室を開設したのを皮切りに、25年度予算案では防災の予算や人員を拡充。日ごろの備えから復旧・復興までを一元的に担う組織を目標にする一方、多岐にわたる業務をどう集約し、実行するかなど課題も多い。(堀内達成、末永陽子)
■有識者会議の開催を予定
昨年12月20日、官邸で全閣僚が参加して「防災立国推進閣僚会議」の初会合が開かれた。議長を務めるのは、防災庁創設を看板施策に掲げる石破茂首相。後藤田正晴元副総理(故人)が阪神・淡路大震災時に残した「災害を防ぐことはできないが、その後に起こることは全て人災である」との言葉を引き合いに「政府一体で本気の事前防災を進める」と熱く語った。
石破首相は25年度予算案で内閣府防災部局の予算を、146億円に倍増。人員も現在の倍の220人に増やし、47都道府県それぞれを受け持つ「地域防災力強化担当」を置く。平時から備蓄や防災訓練を自治体に促し、災害時には被災地で被災状況の把握などに当たる。さらに防災庁の地方分局設置の可能性も示した。