ベネッセ、情報漏洩3504万件に 補償は500円の金券
情報セキュリティー企業と共同出資会社
ベネッセホールディングスは10日、顧客情報の漏洩事件を受けて、情報セキュリティー企業のラックと共同出資会社をつくると発表した。顧客情報のデータベースの保守や運用を手がける。漏洩に至った経緯や今後の情報管理体制の強化について同日、東京都内で記者会見を開き、原田泳幸会長兼社長は「ご心配をかけ、深くおわび申し上げる」と陳謝した。
漏洩があった件数は当初に比べて増え、約3504万件(実態の件数では約2895万件と推計)に上ったと説明した。10月下旬までに漏洩対象の顧客に手紙を送る。補償として500円分の金券を用意することも明らかにした。
漏洩の原因については「自社の情報セキュリティーに関する過信やITリテラシーの不足、性善説にたった監査・監視体制の運用など、企業風土に起因する甘さにあった」(原田会長)と説明した。
情報管理体制の強化に向けてラックと共同出資会社を設立する。「世界で有数のセキュリティー体制の保守運用体制をつくる」(同)とした。
原田泳幸会長兼社長は10日の記者会見で、非開示としている2015年3月期の連結業績予想について、14年4~9月期の決算発表時に公表すると明らかにした。今回の情報漏洩事件を受けて、「今後のマーケティングについてダイレクトメール(DM)中心から(の脱却を目指し)、DMだけに頼らない営業方法の開発に取り組んでいる」と話し、ビジネスモデルの改革に取り組む考えを明らかにした。
また流出の原因についてはデータベースにアクセスがあった場合に自動的に記録する機能があったが、定期的に記録をチェックしなかったことなどを挙げた。漏洩した個人情報は35社が利用しており、事業者に対して情報の削除を求めるなど利用停止を働きかけていると説明した。
原田会長は経営責任について「数人が責任を取ることで解決する問題ではない。私の社長としての責任は、全てを解決すること。二度とこのような事故が発生しない、全く新しい企業風土をつくる」と述べた。
補償を500円としたことについては「過去の様々な事例を参考にした。顧客からは金券を配って終わりではないという強い意見をいただいており、同感している。子供への支援や学習環境の確保などを目指した基金も設立する」と説明した。
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