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FRB議長「インフレ率2%達成を確信」(会見詳細1)

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米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は16日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見した。主なやり取りは以下の通り。

――世界経済は依然として弱く、インフレ率も低水準で目標からはほど遠いのに利上げに踏み切った背景は。

「利上げの条件が整ったと判断した。インフレ率も中期的には2%の目標に近づくという確信を持てるようになったからだ。世界経済は減速のリスクが引き続きあるが、米国経済は十分に強く、米経済の支出の85%を占める国内需要は引き続き順調に拡大している。ドル高がもたらす純輸出の低迷はあるものの、労働市場と経済の見通しへのリスクは均衡している」

「金融政策の効果が表れるのに時間差があるので、細心の注意を払い、ゆっくりと政策を実行していきたい。FRBが最後に利上げしてから長い時間が経っているだけに、金融市場への影響や経済支出を注視しながらタイムリーに政策を実行していくことが賢明だと思う」

「今回の利上げを必要以上に過大視しないことが重要だ。利上げ幅はわずか0.25%。金融政策は緩和状態を維持しているので、雇用情勢とインフレの状況を我々の目標に照らし合わせながら、その目標を達成するために政策を適宜、軌道修正していく。政策の軌道修正は、その時々の経済指標を見ながら時間をかけて徐々に実施していく」

――今から始まった利上げ局面では何を目標に金融政策を進めるのか。「中立」になるのか。

「中立は金融政策の目標ではなく、政策スタンスを評価するのに便利な指標といえる。中立は短期金利の水準であり、経済活動が十分に機能していれば、その短期金利に近づくといえる」

「現時点の金融政策は緩和的だと我々は判断している。FOMCのメンバーは失業率が引き続き低下基調にあると予想している。これは2つの点で適切な判断といえる。1つは労働参加率の低さやパートタイム労働者が高水準なことなど雇用情勢には引き続き弱い部分があり、失業率がさらに低下してこうした弱い部分を強化する必要がある。また、インフレ率が2%の目標に達する必要もある」

――利上げはそうした目標達成にどう影響を与えるのか。

「金利は長い間極めて低い水準を保ってきた。FRBのバランスシートも長い間高水準となってきた。金利がこのままゼロを続けた場合、ネガティブな衝撃への我々の対応が狭められてしまう。利上げによってポジティブな衝撃を与えた方が我々の対応が広がると判断した」

「現在の金融政策は緩和的であるので、この緩和状態をわずかながら縮小させなければ、いずれは雇用もインフレも目標を大幅に超えてしまう恐れがある。避けたいのは長期間利上げをせずに、突然に利上げする必要に迫られることだ。それは長期にわたる持続可能な経済成長を絶つリスクにつながる」

――追加の利上げ実施のためにはインフレ率の上昇が必要か。

「2%のインフレ目標を長く下回ることも、上回ることも避けたいのがFOMCメンバーの意向だ。目標を達成できる自信がメンバーにはあるが、これはあくまでも予想であるので、引き続き状況を注視していく。追加利上げをするためにはインフレ率2%になる必要があるということではない。ただ、インフレ率の低下が一時的なものではないと判断した場合には、利上げを停止する必要がある」

――追加の利上げには多少のインフレ率上昇は必要なのか。

「利上げの単純な方程式をここで披露するつもりはない。インフレ率は来年には1.6%まで上昇するとメンバーは予想しているが、2%は達成できないだろう」

――インフレ率の低下は一時的だと声明でも表現しているが、原油先物は6月時点では1バレル60ドル、現在は36ドルまで下がった。これを一時的なインフレ率の低下といえるのか。もし2%のインフレ目標に達成できなかったらどうするのか。

「原油価格がここまで下がったのには驚いている。しかし、インフレを上昇させるために原油価格を元の高水準に回復させる必要はない。重要なのは価格の安定と緩やかな上昇だ。2004年から2008年に原油価格が大きく上昇した局面でも、我々はその上昇は一時的なものだと判断した。歯止めがきかないようなインフレ期待の上昇や低下は避けたい。現在のインフレ期待は一定水準をうまく保っている」

――金融市場に対応した金融政策の必要性について。

「金融政策の影響は消費や短期金利、資産価値、為替レートなどさまざまな方面に向かう。我々は短期的な金融市場の不安定さに焦点を合わせるわけではないが、金融市場の予想外の変化もあるので、そうした点は注視していく。ただ、我々が重要視しているのは長期的な経済見通しであり、その見通しに圧力をかけるような金融市場の持続的な変化があれば、それを踏まえた金融政策にする必要がある」

――金融市場が利上げに十分に反応しなければ追加利上げもあるのか。

「今回の利上げは市場にとって予想外のものではない。我々は金融政策のスタンスについて何度も説明してきた。利上げの見込みは金融市場の価格に織り込まれてきた。もちろん長短金利やドル、資産価格の動きについては注視していく。その上で金融市場に予想外の動きがあればそれを踏まえた行動をとるつもりだ」

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