米ICEがNY証取買収 時価総額、取引所世界3位に
82億ドルで
【ニューヨーク=川上穣】原油取引に強みを持つ米インターコンチネンタル取引所(ICE)は20日、ニューヨーク証券取引所を傘下に持つNYSEユーロネクストを82億ドル(約6900億円)で買収すると発表した。統合前の両社の時価総額を単純合算すると約150億ドル。香港取引所、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループに次ぐ世界の取引所の3位に浮上する。
NYSEは高い収益が期待できる商品先物などデリバティブ(金融派生商品)の強化が不可欠と判断し、実質的な身売りを決めた。買収は現金と株式交換を組み合わせて実施。米欧の規制当局や株主の承認を経て、2013年後半の手続き完了を目指す。
統合後はICEのスプレッチャー最高経営責任者(CEO)がCEO、NYSEのニーダーアウアーCEOが社長を務める。歴史ある「NYSE」のブランドは引き続き残す。
ICEは北海ブレント原油や農産物のほか、外国為替先物など幅広くデリバティブ事業を展開。取引の履行を保証する清算業務にも強い。
一方のNYSEは投資家の株離れで伝統的な現物株の取引が低迷。取引所の国際競争が激しくなる中、自力での成長が困難になっていた。ニーダーアウアーCEOは「デリバティブ強化には最適の組み合わせだ」と強調した。
NYSEは昨年、ドイツ取引所との合併で合意。ただ今年2月に欧州委員会が独占禁止法上の問題から承認せず、合併案が頓挫した経緯がある。