経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

7/29の日経+追記

2014年07月29日 | 今日の日経
 「中長期試算」の分析はいかがだったかな。実は、論考に書いていない部分にかなり時間を使った。それは、いわば、内閣府がどのように税収を試算しているかの「リバース・エンジリアニング」だ。本当は、それを公開してほしいのだけどね。ほとんどの人は、チンプンカンプンだろうけど、筆者の想定も記しておくよ。

………
 まず、今夏と冬の試算の税収を比較し、2015~17年度の税収の上ブレが各々0.2、0.3、0.5兆円にとどまることを確かめ、この間に出てきた情報である2013年度の税収上ブレ1.6兆円に比して小さいことから、ベースを上げていないだろうと判断した。

 次に、2015~17年度の税収に関しては、消費増税について、1%で2.7兆円の増収となり、うち69%が国の税収として一般会計に計上されるとの前提で、3%増税分は、2013年度に4.5兆円増、2014年度に残り1.1兆円増を計上した。2%増税分は、2014年度の増収は、2013年度の前例である「4.5兆円」の2/3の税率で半年分だから1.5兆円と計上し、2015年度は残り2.2兆円とした。増収は2016年度まで遅れる可能性が高いが、便宜的に0と設定した。

 すると、成長に伴う、2015~17年度の税収の自然増は、「中長期試算」の前年度からの税収増から前記の消費増税分を差し引き、3.0、2.9、2.1兆円となった。前の2年間が高めであるが、リーマン前の名目GDP513兆円を超えるまでは、高めの税収増があると考えれば、頷けなくもない。ちなみに、2012から13年度の決算間の自然増収は3.1兆円だった。

………
 「中長期試算」の肝は、足元の自然増収などの影響で、どの程度、上方へシフトするかである。筆者は、国と地方の税収上ブレの2.5兆円分をシフトさせたわけだが、それがいくらになるかは見解が分かれるところだろう。 

 しかし、大事なのは、参考ケースの実質1.3%を超える経済成長率なら、かなり先になるかもしれないが、いつかは必ず基礎収支の赤字がゼロになるということである。国債が発散しないことを示し、信用を守るには、増税で早く収支を改善することでなく、成長を落とさないことが決定的に重要だ。消費増税というのは、赤字ゼロの時期をどれだけ早めるかという意味しかない。

 「中長期試算」を見て、財政当局が示唆するままに、2020年までに更に消費税を4%上げるしかないと思考を狭めてはいけない。「中長期試算」が示している本当の意味を、与えられたものでなく、自分で読み解くだけのリテラシーが求められるのだ。

(今日の日経)
 高利回り投資過熱、緩和マネー流入。海外ツアーまた値上げ。円ドル取引半減。家電6週ぶりプラス。経済教室・地方議会・砂原庸介。

※昨日の「日銀に輸出と投資の分離論」が良かったね。ペントアップはあるのか。

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