アメリカはなぜ中国に通貨切り上げを迫っているのでしょうか。それは思うに、かつてアメリカが日本に対して円の切り上げを求めたこととおそらく同様の理由によるのでしょう。すなわち、アメリカに製品を輸出することで経済成長を成し遂げた日本が、円の切り上げを求められたのと同様に、中国もまたアメリカに製品を輸出することで中国が高度成長のさなかにあるのだとすれば、人民元もまた、切り上げを求められるのも自然なことなのだと考えられますよね。。。
ここで、為替レートと貿易の関係をいちおう復習しておきましょう^^ 貿易を行うにあたっては、自国の通貨が貿易相手国の通貨よりも強くなる(価値が上がる)と、自国は相手国への輸出が不利になり、輸入が有利になります。逆に、自国の通貨が弱くなる(価値が下がる)と、輸出が有利になり、輸入が不利になります。例として、以下のそれぞれのケースで考えてみましょう。(関税や消費税や為替手数料は考えないものとします)
①1ドル=300円である場合 (ドルが強く、円が弱い場合)
②1ドル=100円である場合 (ドルが弱く、円が強い場合)
それぞれの場合における日本とアメリカとの貿易を考えてみましょう。たとえば日本の製品であるトヨタカローラ1台を1万ドルでアメリカに売った場合、①のケースでは日本が得られるお金は円に換算すると300万円になります。②のケースでは100万円になります。つまり輸出するにあたっては、自国通貨(この場合は円)が弱いほうが利益が大きくなる、ということです。一方アメリカから見ると、①のケースでは自国の通貨であるドルが強いわけですから、カローラ一台を買うことが有利になり、②のケースではカローラ一台を買うことが不利になります。つまりカローラ一台が100万円であるとすると、①のときには3300ドルあれば買えたのに対し、②のときには10000ドル必要になる、ということです。
今度は逆に日本がアメリカから、たとえばフォードムスタング1台を1万ドル買う場合を考えてみましょう。①のケースでは購入するための資金1万ドルを用意するのに300万円必要になりますが、②のケースでは100万円で買うことができます。つまり輸入するとなると、自国の通貨が弱いと、費用が余分にかかるので、その分不利になる、ということが言えます。
そしてこの法則はアメリカと中国の間における貿易についても当然にあてはまるわけでして、現在の1ドル=約6.8元で維持されているレートを、元を切り上げることによりたとえば1ドル=3元になるとどうなるか。たとえば中国で有名なビールである青島啤酒1本を1ドルでアメリカに売る場合、元が強くなる以前は6.8元の利益があったのが、元が強くなるとこれが3元に減ってしまう、ということになります。このように輸出する際の利益が減ってしまうから、中国はあまり元を切り上げたくないのである、と考えられますが、どうでしょう。。。
またさらに言うと、アメリカにとってみれば、元の価値が不当に安く据え置かれていることで、中国の安い製品がアメリカにたくさん入ってきてしまっており、結果としてアメリカ製品がアメリカ国内で売れなくなることで、アメリカの雇用を圧迫しているみたいですね。この点においても元安を非難している、という背景もあるみたいですね。この点に関しては私としてもまだまだ詳しく理解してはいない点ですので、今後の課題とさせていただこうと思います。。。
少ない時間の中でざっと書いている文章なものですから、説明不足な点や、また不正確な点もあるかもしれません。間違った箇所がありましたら、適宜つっこみを入れていただけると大変ありがたく思います。。。とりあえず今日はこの辺で。。。
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