ロックンロール独立リーグ、新章突入──DEATHRO、2ndアルバムを1週間先行配信 & インタヴュー掲載
平成最後の“J-ROCK”レジスタンス、DEATHROが2016年末にリリースしたソロ1stアルバム『PROLOGUE』から1年半、待望となる2ndアルバム『NEUREBELL』をドロップ!! 前作よりも確実にパワーアップした楽曲と、多くの人が心のどこかに置いて来たビート・ロックへの恋心に再び火をつける1枚となった今作を、OTOTOYでは1週間の先行配信 & 本人へのインタヴューを掲載。ツアーをはじめ、『TOYOTA ROCK FESTIVAL』『ボロフェスタ』『SYNCHRONICITY』などのフェスやイベントにも出演し様々な変化を経た彼が今作へと込めた思いとは!?
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(配信形態 16bit/ 44.1kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 216円(税込) / アルバム 1,404円(税込)
INTERVIEW : DEATHRO
神奈川県央No.1ロック・ヴォーカリストとして各地のライヴハウスをホールやスタジアムに変える男、DEATHROが、2ndアルバム『NEUREBELL』をリリースする。
今作は1stアルバム『PROLOGUE』から約1年半ぶりのアルバムで、昨夏にリリースした両A面シングル『SLEEPLESS / RHAPSODY』の2曲も再録。バックの演奏はライヴでもお馴染みの川又慎(Not it?Yeah)(Dr)、YUKARI(limited express(has gone?) / ニーハオ!!!!)(B)、小野寺陽多(Daiei Spray)(G)、FUCKER(Less Than TV)(G)という盤石の布陣でレコーディングされた。
しかしそのサウンドは前作とは明らかに異なり、また歌詞のメッセージ性も増している。なぜそのような変化が起こったのか、DEATHRO本人に話を聞いた。
インタヴュー・文 : 須藤輝
構成 : 高木理太
写真 : 浦将志
メタルの人がU2とかザ・スミスをやってる感じ
──2ndアルバム『NEUREBELL』は、まず音作りからして1stアルバム『PROLOGUE』からだいぶ変わりましたね。
結果的に、変わりましたね。やっぱり1枚目と違うことがやりたくて、今回まず意識したのが自分が影響を受けた音楽が醸し出していた“ザ・スミスっぽさ”なんですよ。だから1曲目の「MISTAKExxx」とか3曲目の「...IN CHAIN...」とか、クリーン・トーンのギターのリード・プレイがあったり。あと、今回はサウンド・プロデュースをほぼ自分でやってるんです。もう機材を揃えるところから始めてたりして。そういう意味では俺好みの音っていうか、90年代のJ-ROCKとかヴィジュアル系バンドの音作りに寄せてますね。
──「機材を揃える」とは?
例えば元ザ・スミスのジョニー・マーは、いまステージではBOSSのGT-100っていうマルチ・エフェクターを使ってるらしいんですよ。だから今回のレコーディングでも、ギターの単音の空間系エフェクトはそのエントリー・モデルのGT-1だけで済ませたり。それから昔の『バンドやろうぜ』とか『GiGS』の記事の切り抜きを見ながら「この人が出してる音に近づけるためには、あれとこれを組み合わせて……」みたいな。
──実際に揃えるのはかなり大変では?
さすがに同じものは揃えられなくて。ただ、同じメーカーならちょっとランクダウンした機種でも代替できるんです。例えばエディ・ヴァン・ヘイレンや、CRAZE時代の瀧川一郎さんが使ってることで有名なPEAVEYの5150の真空管アンプとかはサイズやメンテナンスを考えると手が出せなかったんですが、いま谷ぐち(順/FUCKER)さんがライヴで使ってる同じPEAVEYのBANDIT 112っていうトランスチューブのコンボアンプでもわりと近い音が出る。そういうのを研究しつつ、ひたすらHARD・OFFとかで機材を漁るっていうのをここ1年ぐらい並行してやってましたね。
──これ伝わりにくいもしれないんですけど、例えば『PROLOGUE』がTEENGENERATEだったら、『NEUREBELL』はFIRESTARTERかなっていうくらい音色の印象が違ったんです。要はゴリゴリのガレージ・パンクから、ちょっと色気のあるパワー・ポップへ、みたいな。
それ嬉しいですね。『PROLOGUE』はそれこそ〈Merge Records〉とか〈SUB POP〉のバンドが日本のビート・ロックを演奏したら……っていうコンセプトで作ったので。それが今回こういうサウンドになったのは、これからもアルバムごとに表情を変えていきますよっていうステートメントでもあるんですよ。やっぱりその時々に自分がフォーカスしてるものとかをアウトプットするっていう意味で。
──今回はどんなものにフォーカスされたんですか?
半分たまたまなんですけど、『PROLOGUE』のリリースツアーのとき、車の中でLa’cryma Christiとか後期のLaputa、あとEins:Vierなんかをよく聴いてたんです。彼らって結構16ビートも使ってて、みんなが想像するような典型的な8ビートのヴィジュアル系ではない感じなんですよ。で、エンジニアの鈴木歩積(told)くんが、いま俺が言ったバンドとかも聴いてくれたみたいで、ミックスする際に「メタルの人がU2とかザ・スミスをやってる感じで大丈夫ですか?」って。
──言い得て妙ですね。
それって当たってるというか、ヴィジュアル系バンドの一個の型だと思ってて。でも、ギターのオノちゃん(小野寺陽多)がレコーディングで使ったアンプはMesa/Boogieのレクチ(Rectifier)っていう、結構モダン・ヘヴィネス系の人たちが使ってるやつで。だから歩積くんに「ジョニー・マーは絶対レクチは使わないっすよね」って半笑いで言われたんですけど、いい音しましたね。
──全体として歌モノがより歌モノらしく聞こえますよね。
ああ、それあるかもしれないですね。『PROLOGUE』はリフで押す曲が多くて、たぶんそれってまだパンク、ハードコアの曲作りの癖が残ってたというか、「曲はリフから作るもの」っていう発想しかなかったから。でも今回はアコギを使って歌とコードで作ったり。だから前よりもメロディに重きを置いてる感じはありますね。あと単純に、自分の好きだったJ-ROCKのアレンジがわかってきたのかも。USのバンドだったらリフで弾くところをあえてカッティングにしたり、そうすることで出る疾走感とかがJ-ROCKのキモなんだなって。
──邦楽的なアプローチになった?
そうっすね。ただ単音を重ねるとかじゃなくて、もっと効果的なアレンジの仕方っていうのを覚えたのかなっていう気がします。
──個人的には去年シングルで出された「RHAPSODY」にもそれを感じたんです。
「RHAPSODY」は、『PROLOGUE』をレコーディングする前、2016年の熊本地震に触発されて書いた曲なんですけど、たしかにあれもちょっと違いますね。リフで押すっていうよりは全体のアレンジとメロディで引っ張っていくみたいな。おっしゃる通り「RHAPSODY」あたりから歌モノの曲作りがわかってきたのかもしれない。
綺麗事の何が悪いんだよ
──アルバム最終曲の「未完成のLOVE SONG」は、2017年9月の渋谷O-nestのワンマンライヴで披露された曲ですよね。
はい。
──ということは、曲作りはわりと早い段階からされていた?
ヘタしたら『PROLOGUE』を録った直後ぐらいから曲を書き始めてたんで、足掛け1年半ぐらい。結果的に長くなったというか、『PROLOGUE』のツアーを回ってる間はいったん曲作りもストップしちゃって。今回のアルバムで最後にできたのがたぶん「FLOWERS」なんですけど、デモ自体は去年の冬ぐらいにはもうあったんです。
──「FLOWERS」はこのアルバムの核になる曲だと、いつぞやのライヴのMCでおっしゃっていましたね。
はいはい、言いましたね。わりとアルバムを象徴してる曲かなって思います。やっぱり、どんだけ現実の社会とか世界がクソでも、それに飲み込まれたくないなって。そこで諦めたり、世捨て人みたいにニヒルに構えるより、どうにかして種を蒔いて花を咲かせようと。それは綺麗事かもしれないけど。まあ、それってバンド時代からずっと言ってることなんですよね。「綺麗事の何が悪いんだよ」っていう。
──『NEUREBELL』というアルバムタイトルもある種、挑戦的ですね。
最初は英語表記で「NEW REBEL」にしようと思ったんですけど、個人的に裏テーマを設定しているというか、ちょっと思うところがあってドイツ語に。表のテーマとしては、最近、価値や意味のないものは必要ないっていう考え方が蔓延しているような気がしていて。それは2016年に自分の地元の相模原で起きた、津久井やまゆり園の事件も無関係ではないし……。だからさっきの「FLOWERS」と同じノリなんですけど、「価値や意味がなくて何が悪いんだよ」っていう感じですね。
──歌詞の政治性や社会性みたいなものも、『PROLOGUE』よりも表に出ていますよね?
といってもバンド時代ほどじゃないと思いますけどね。わりとオブラートに包んで、メタファー的な感じなので。やっぱりそこも、さっきの「アルバムごとにサウンドが変わるよ」っていうステートメントと一緒で、「自分のスタンスはこうですよ」っていうのを提示したかったっていうのはありますね。いまライヴを観に来てくれる人って、ソロシンガーのDEATHROになって初めて触れる人も多いので、そういう人に向けて。
──そういえば、DEATHROさんの立ち位置ってどこなんですか?
と言いますと?
──パンク、ハードコアのシーンにいる?
どこそこのシーンにいるという意識はないですね。ちなみに音楽としてのパンク、ハードコアはバンドを辞めたときに中退したというか、落第したと思ってるんで。だから自分的には完全にJ-ROCKだと。ただ、J-ROCKだけど独立リーグみたいな。
──独立リーグ(笑)。
でも、どう捉えてもらっても構わないです。ありがたいことにバンド時代の繋がりでパンク、ハードコアのシーンにサポートされている側面も大きいですし、音楽的には聴きようによってはガレージロックだって言ってくれる人もいますし、あるいはシンガーソングライターっていう側面もありますし。あと今年は「SYNCHRONICITY」とか「サウクル(Shimokitazawa SOUND CRUISING)」とか、バンド時代だったら絶対縁がなさそうなイベントにも結構呼んでもらえるようになって。
──どこにでも顔を出せる。
どこに顔を出しても、どこか異物感があるのかな。自分としてはすごい王道的なことをやってるつもりなんですけどね。どこにも属せなくって、漂っている感じ。まあ立ち位置ってあんまり考えたことなかったんですけど、強いていえば「神奈川県央のロック・ヴォーカリスト」ですね。
──なるほど。
神奈川県央にいながらどこまでやれるのか。そこの雰囲気みたいなものをどれだけ持ち込めるのか。っていうのが自分の音楽における大きなテーマではありますね。
──ニュー・アルバムでいうと、5曲目の「MEGAROPOLIS」がまさに県央ソングですね。
地元の曲ですね、完全に。中途半端に改造した車でコンビニに群がってる若者たちとか。やっぱりみんな車で移動するから、オタクもヤンキーも車で自己主張するんですよね。軽自動車なのにシャコタンにしたり、あるいは痛車にしてみたり。
──僕は地元が千葉県のとある中途半端な田舎町だったので、『PROLOGUE』に収録された「SUBURBS」や「BOYS & GIRLS」とった県央ソングにもシンパシーを感じます。
別にそういう郊外のカルチャーを揶揄しているわけでもないし、それが悪いことだとも思ってないんですよね。そこで生きる以上、選択肢が限られているというだけで。例えば週末にイオンモールに行くことが、ライヴハウスやクラブに行くことよりも劣っているとは少しも思わないし。
まだ「愛こそすべて」と言える世界には遠い
──ここからは曲順に沿って各曲について聞かせてください。まず1曲目の「MISTAKExxx」はミディアムテンポで、かつ16ビートというのも意外でした。
しかも、最近あんまり使う人がいない16ですよね。いまの16って、どっちかっていうと裏打ちっぽい感じなので。この「MISTAKExxx」は、当初は1曲目にするつもりもなかったんで、もっと隙間を設けたAOR寄りのアレンジにしようと思ってたんです。でも、デモを作ってるうちにそれだともったいない気がしてきて、少しだけアッパーにして。
──ファルセットでも歌ってらっしゃいますね。
ちょっとやってみたかったんで。でも、意外とレコーディングでもスムーズに歌えたので、今後は多用していけたらなと。
──2曲目の「RESISTANCE」は一転して、アップテンポのロック・ナンバーです。
王道ですよね。「RESISTANCE」の歌詞は、去年マーティン・スコセッシ監督の『沈黙 -サイレンス-』っていう映画を武蔵小金井のイオンモールで観たときに思いついたんですよ。ちなみにその映画館がめちゃくちゃ空いてて、やっぱり郊外の人にはこういう映画はあんまり受けがよくないのかなって。まあそれはいいとして、要は、日本て沈黙が美徳とされてるところがあるじゃないですか。
──発祥はイギリスですけど、「沈黙は金」という言葉もありますし。
そう。「沈黙は金」とかクソだなって思います。言いたいことがあったら言うべきだし、声を上げるにしても遅すぎるっていうことはないはず、ということを歌ってますね。
──歌詞でいうと、続く「...IN CHAIN...」は「FASCIST を気取った PRESIDENT」と、かなり直截的な表現を用いていますね。
ニュース番組で近隣諸国の地図の上に、各国のトップの顔が吹き出してるフリップが出てたんですね。見たら日本は安倍晋三で、アメリカはトランプで、ロシアはプーチンで、中国は習近平で、北朝鮮は金正恩で……なんかウンザリしちゃって。あとこのへんの歌詞は、4曲目の「LOST&FOUND」もそうなんですけど、曲作りしてたときに塚本晋也監督の『野火』を観たのが大きいかもしれませんね。そう考えると、俺は影響されやすいのかな……。
──インプットあってこそのアウトプットでは?
じゃあそういうことにして。あの映画で描かれていたような地獄は、いまでもどこかしらにあるかもしれないし、もしかしたらその地獄が自分たちにも降りかかってくるかもしれない。そういう当事者意識を持つことって難しいし、俺だって当事者になってみないと本当のところはわからないんだけど、一人ひとりがちょっとずつでも想像力を働かせれられれば、少しはマシになるんじゃないかって。
──「LOST & FOUND」は最近のライヴでは1曲目に持ってきたり、「BE MYSELF」や「SLEEPLESS」とはまた違った王道のビート・ロックという感じですね。
あのちょっと食い気味の、邦楽的なリズムも意外と新境地なのかも。『PROLOGUE』のときはそういうリズムをあえて入れてなくて、もっと洋楽的な、大振りな感じだったんです。そういう意味でも、今作は『PROLOGUE』よりもドメスティックなアルバムになりましたね。
──そこから先ほど触れた「MEGAROPOLIS」を経て、6曲目「SLEEPLESS (Level2)」と7曲目「RHAPSODY (Level2)」はいずれもシングル曲の再録。この「SLEEPLESS (Level2)」から少しアルバムの雰囲気が変わりますよね?
特に「RESISTANCE」から「LOST&FOUND」までの流れがエモーショナルだったんで。だからもしこれがLPレコードだったら、5曲目の「MEGAROPOLIS」までがいわば“怒りサイド”で、6曲目の「SLEEPLESS (Level2)」から“優しさサイド”みたいな。アルバムを作るときはいつもA面とB面で考えちゃうんですよね。
──いいですね、その発想。
『PROLOGUE』もB面が「CRAZY FOR YOU」から始まるイメージなんですよ。曲数に関しても、自分の中ではアルバムは全10曲っていうのが聴きやすいかなって。
──それこそLP盤に収まる、40分前後で聴き終わるサイズ感。
それくらいが音楽と向き合うのにちょうどいい時間だと思うんです。もちろん大作志向のアルバムにもいいものはたくさんありますよ。BUCK-TICKの『Six/Nine』とか全16曲で71分ですから。
──8曲目の「INNOCENT COULEUR」は、『PROLOGUE』収録のLGBT賛歌「UNDER THE RAINBOW」に近いメッセージを感じました。
そうですね。「INNOCENT COULEUR」に関しては、LGBTに限らず、誰でも当てはまることっていうか。自分と他者との間の違和感みたいな、混ざりあえない感覚を、ポジティブなものとして捉えられればなって。
──そういう考え方って、どこからきてるんですか?
たぶんね、中学時代に美術の授業で、何かの色を本来あるべき色とは全然違う色で塗って美術教師に引っ叩かれたことが関係してる気がします。「どんな色でもいいじゃねえか」って思うんですよ。それぞれ見えてる景色は違うし、モノの見方も違うから。それをこういうふうに見なきゃいけない、こういう色をつけなきゃいけないって強制されるのがイヤだなって。それも自分の根本的なテーマとしてあるのかもしれないですね。誰とも混ざりあえなくても、自分のやりたいことをやるっていう。
──そして「FLOWERS」を挟んで、ラストは「未完成のLOVE SONG」。この曲は弾き語りで、いわゆるラブ&ピース的な思想にアンチを唱えるような歌ですね。
バンド時代に「I HATE HATE SPEECH, FUCK OFF!!!!」って曲をやったりしてたんですけど、やっぱりヘイト・スピーチだとか人種差別だとかホモ・フォビアだとかがある限り、そしてそういうものを増幅させる奴らがいる限り、「愛こそすべて」とは言えないんじゃないかって。愛よりもむしろ怒りや憎しみをぶつけなきゃダメなときもあるっていう。この歌詞を書いたときもたぶんね、「世界には愛しかない」っていう歌がミュージックステーションで流れてきて「いや、まだそう言える世界には遠いよな」って。
ジャケットの俺の顔、ちょっとむくんでるでしょ?
──ところでDEATHROさんは、詞先ですか、曲先ですか?
わりとメロディと歌詞が一緒に出てくるんですよ。だからメロディができてからそこに歌詞を乗せるっていうよりは、メロディと同時に歌詞も書き出して、最後に言葉の辻褄を合わせるというか微調整していく感じですね。だいたい原付とか車を運転してると思いつきます。
──今回のアルバムだと、「時代」という言葉がよく出てきますよね。
出てきますよね。たぶん、いま俺が生きてるこの時代は、のちのちどんな歴史として残るんだろうみたいなことを考えてたからかも。あと俺、だいたい時代に対してすごいネガティブな歌詞を書いてますよね。やっぱり時代っていうものは抗う対象なのか……それか、俺が時代に逆行してるんですかね。
──逆行(笑)。
だって、いまやってる音楽自体がもうね。まあ、基本ひねくれてるんですよ。だからいまの時流に逆らうというか、カウンター的な感じということで。でもなんか、俺の歌詞って「これじゃダメだ」っていう内容が多い気がしますね。もしかしたら意外と考え方が体育会系なのかもしれない。こないだ親友の井上貴裕(SHUT YOUR MOUTH)くんに「DEATHROくんは“がんばる”っていうことを、すごい辛い状況に身を置くことだと勘違いしてる」って言われたんです。例えば長い時間をかけてボーカルを何回も録り直すとか。
──それちょっと危険なやつですね。サラリーマンだったら、残業したぶんだけ仕事したように錯覚するみたいな。
そうそう。そういうんじゃなくて「短い時間の中でベストを狙うやり方も“がんばる”ってことだよ」って諭されたんですよ。でもね、やっぱどうしても辛くならないと、がんばったことにならないんじゃないかっていうのがあって。最悪な例えだと、野球部が練習中に水を飲まないとか。
──根性論的な。
技術でどうにもならないときには気合いでカバーするとか。ただ、歌モノをやろうとするとそれだけじゃ通用しないところもあるし、気合い入れて喚いたからいいテイクになるわけでもないですからね。そういう意味では、『PROLOGUE』のときは闇雲に歌いながら探っていくようなやり方だったんですけど、今回はそうじゃなくて、録る前にあらかじめボーカルの方向性を決めてから歌入れできたんで、ちょっとは成長が見えるかもしれません。
──今回のアルバムはジャケットもとてもいいですね。
ありがとうございます。今回は完全に、親友でありデザイナーの井上くんにお任せしました。彼がフォトグラファーの池野詩織さんに連絡して、シチュエーションとかも決めて、ロケハンも一緒に行ったりして。ジャケットの俺の顔、ちょっとむくんでるでしょ?
──そうですか?
めちゃくちゃ早朝なんですよ。4時ぐらいだったかな。
──飾らない、素のDEATHROさんですよね。
それ、もしかしたら井上くんの狙いが当たってるのかもしれない。井上くんも「素のDEATHROくんをみんなに見せたい」ってよく言ってくれるんですよ。どうしても俺は人前に出るときはちょっとキメなきゃいけないとか考えちゃうんで。まあ、うだつの上がらない男が背伸びしてるだけなんですけど。あと今回は、初めて県央以外の場所で撮っていて、これ霞ヶ関〜丸の内周辺なんですよ。そこにたまたまいい場所があって。だからさっきアルバムの政治性に触れてくれましたけど、図らずもジャケットも……。
──政治の中枢で撮影することになったと。
はい。このジャケットも含めて1stとはだいぶ手触りが違うと思うので、聴き比べてもらえたら嬉しいですね。かつ、ここまでいろいろ話させてもらいましたけど、最終的には音で判断してもらいたい。そして、ツアーも静岡、大阪、岡山、愛知、東京とあるので、都合がつきそうな方はぜひ来てください。全力でブチ上げますから。
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郊外から抗う1人の男の、物語の始まり
──DEATHRO、渾身の1stソロ・アルバムを配信&インタヴュー
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堕天使の悪戯を吹き飛ばす、狂った月曜の夜
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俺たちを眠らせない狂詩曲
──DEATHRO、新たなJ-ROCKのアンセムとなる両A面シングルをリリース!!
https://ototoy.jp/feature/2017081802
過去作もこちらにて配信中!!
LIVE SCHEDULE
『BEGIN NEUREBELL』
2018年7月22日(日)@東京 渋谷HOME
時間 : 開場&開演 18:00
出演 : DEATHRO / LSTNGT / TRAGIC FILM
料金 : 前売 1,900円(+1Drink)
DEATHRO TOUR2018 “NEUREBELL”
2018年8月19日(日)@静岡 LIVE HOUSE騒弦
時間 : 開場 16:30 / 開演 17:00
出演 : DEATHRO / FUCKER / アドバルーン / Humangreat / Xizi / HALF KILL
料金 : 前売 1,500円(+1Drink)
2018年8月24日(金)@大阪 難波BEARS
時間 : 開場 19:00 / 開演 19:30
出演 : DEATHRO / FEROCIOUS X / HARD CORE DUDE
料金 : 前売 2,000円(+1Drink)
2018年8月25日(土)@岡山 PEPPERLAND
時間 : 開場 18:30 / 開演 19:00
出演 : DEATHRO / ロンリー
料金 : 前売 2,000円(+1Drink)
2018年8月26日(日)@愛知 今池HUCKFINN
時間 : 開場 18:20 / 開演 19:00
出演 : DEATHRO / THE ACT WE ACT / MILK / 6eyes
DJ : VIDEOBOX / KURO
料金 : 前売 2,000円(+1Drink)
2018年9月9日(日)@大阪 十三『しょんべんフェス』
246GABU / FANDANGO /Club Walter同時開催
時間 : 開場 11:00 / 開演 12:00
料金 : 前売 3,500円(+1Drink)
詳細はこちら
2018年9月16日(日)@兵庫 神戸『WORLD X FESTIVAL』
太陽と虎 / 108 /STAR CLUB同時開催
時間 : 開場 12:00 / 開演 13:00
料金 : 前売 3,400円(+1Drink)
詳細はこちら
2018年10月19日(金)@東京 渋谷TSUTAYA O-NEST
TOUR FINAL ONEMAN!!
時間 : 開場 19:30 / 開演 20:00
料金 : 前売 2,400円(+1Drink)
PROFILE
DEATHRO
1984.12.30 神奈川県愛甲郡出身&在住
2015年12月、10年以上に渡るPUNK/HARD COREシーンでの活動の果て、自らのルーツであり、偏愛する20世紀末J-ROCKを現代にアップデートすべく、ソロのロックヴォーカリストとして活動を開始。
2016年3月、1stシングル『BE MYSELF』を発表。
コンセプチュアルなPVと共に話題を呼び、同年6月には活動半年にして、初ワンマンライヴを渋谷HOMEにて開催。
2016年12月、1stアルバム『PROLOGUE』発表。
年をまたぎ全国6箇所でのレコ発ツアー&2度目となる下北沢THREEワンマンをソールドアウトで成功させる。
2017年8月にはマキシシングル『SLEEPLESS/RHAPSODY』を発表。
お笑い芸人・永野、虹の黄昏らが出演したMVが話題となった。
翌9月には自身3度目となるワンマンをTSUTAYA O-NESTで開催。
その後も『METEO NIGHT』『TOYOTA ROCK FESTIVAL』『ボロフェスタ』『SYNCHRONICITY』『下北沢サウンドクルージング』等のイベントに出演し、神奈川県央No.1ロックヴォーカリストの称号を胸にステージでそのJ-ROCK魂を燃焼させ続けている。