趣味関係で知り合った友人から久しぶりに連絡が来たので会ってみると、見事に生命保険を売りつけられた。いや、それ自体に文句はないのだけど。
彼女と再会したのはうちの近所のファミレス。彼女の方からあなたの家から近いしと指定された。連絡を受けた時は何か話したいと言っていたのでお互いの近況とか話すもんだと思っていた。
人づてに彼女が転職した事をすでに聞いていた。私も色々と行き詰まってきた感があっていい機会に相談でもしようと思っていた。久しぶりに会う彼女は何故かスーツだった。なんだろう仕事の合間に来たのかな。その時点で違和感を感じていた。
そう思いながら話を始めたがさらに違和感。彼女の視線が自分の目を見続けたままなのだ。視線を外さずに話し続ける彼女。だんだん怖くなって来た。
そして気づいたら生命保険の勧誘に話が変わっていた。あれ、どこからこの話になったっけ。とやっと考えられたときにはもう遅く、完全に彼女のペースに巻き込まれていた。
まぁ保険に入る事は別に問題ない。そもそも私は生命保険に入っていなかった。まぁ入っといて損はないかなくらいの気持ち。
だけど営業的殺し文句にはうんざりした。自分に何かあったらご両親が、あなたは結婚すると思ってるからとかいえいえそれは余計なお世話が多少入ってますよと。両親は自分の葬式を家族葬でやりたいと思ってる人種である。自分の葬式も万が一あったらそうしたいと考えている。なので死亡時に何百万円を家族が受け取ったところでなんてことはないし、ぶっちゃけそんだけ金もらったら特殊詐欺に課金してしまいそうなのでマジで怖い。あと結婚の予定はないし、願望はないし、相手はいないし、という状態だ。
彼女について気になることは気になったけど結局契約した。彼女は職場や友達にも勧めてほしいと言って別れた。
そうは言ってもすでに入っている方々ばかりで勧めることなど不可能であった。後日話したときに、良さを伝えてくれと彼女は言った。たぶんいい商品なんだとは思うけど、私は金融とか保険とか疎いからよくわからないと正直に答えた。彼女は残念だ、と言った。いえ知らんがな。そんなこと。
私は彼女が変わってしまったことのほうが残念だった。知り合った当初は私の年上のお姉さんって感じだったのが、いまやただのセールスの人だ。彼女に敬語使われることは対等な関係を崩された感じがしている。こういう関係になりたかったんだっけ。もうよくわからない。私の手元には保険証券だけがのこっている。
なんだ、単なるエウリアンか
お侍さんなら切り捨て御免でしょ?