僕たち司法修習生は要件事実が大好きです。要件事実が問われる起案をした直後(たとえば今日)はみんなで盛り上がります。
今日はその要件事実について説明・・・すると鬼のように長くなるので、誤解されても上等でざっくり説明したいと思います。
100億分の1でも、楽しさの片鱗を理解してくれたら幸いです。
要件事実というのは、弁護士が依頼者の権利(たとえば所有権、貸した金返せ権)を主張するときに使う呪文のようなものです。
これを法廷で相手方に唱えると、権利が発生し、相手方に攻撃をしかけることが出来ます。相手方も呪文で反撃してきます。
もっとも、実際には、呪文を唱えるのではなくて、書面に書いてあるだけなので、カードバトルに近いかも知れません。
呪文には、たとえば、メラに対してはヒャドを唱えるとメラの効果をかき消せたり、バギマに対してはライデインを使うと勝てるとか、そういう強弱関係が存在します。
この呪文を唱えるには、「炎よ!」とか「天の怒りよ!敵を討て!」とかの詠唱文句が必要です。
でも、いちいち全部詠唱していくのは不合理きわまりないので、「『天の怒りよ!』の部分は省略していいよ」と相手方が言ってきたりします。
こんな感じで、裁判官は、詠唱する必要のある部分だけを取り出して、それがきちんと詠唱できたかどうかを判断して、詠唱できていればその呪文の効果を発生させて、最終的に強い呪文を唱えていた方を勝たせます。
これの何が楽しいのかといって、呪文の詠唱が楽しくってしょうがないんです。
呪文とその詠唱文句は、全て法律の解釈によって定まるのですが、それがパズル的で非常におもしろい。
相手がメラミを使ってきたので、ヒャダルコで対抗したら、相手がさらにメラゾーマを使ってきた。
この場合、ヒャダインを打ってもヒャダルコの効果を復活させるものではないから、ヒャダルコとメラゾーマを前提に、メラミに対してヒャダインを唱えるべきだよ、とか。
マヌーサ状態でもベギラゴンは使えるって民法○○○条に書いてあるから、この場合の被告代理人はマヌーサを唱える意味はないよねとか。
マホトラを唱えるには、相手の最大MPを知らなければならないけど、相手が戦士である場合は、商法X条で前衛職であることがわかり、前衛職ならば商法XXX条でMPが少ないことが推定され、さらに商法XXX条でMPがレベルと同じことが分かる・・・だから詠唱には「戦士から奪え!」の文言が必要だよ、とか。
こんばんは。修習生増田です。
極楽のような二連休から、一気に地獄に突き落とされる1週間が始まります。
まあ任官志望者以外はそこまで根詰めない人も多いでしょうけど。
今、僕たちは主に事実認定というものを学んでいます。
あれ?法律じゃないの?と思われたかも知れません。
しかし、法律を適用するには、まず事実を確定しなければなりません。
事実に法律を適用することによって、法律の条文に書いてある効果が発生するのです。これを法的三段論法と言います。
ですが、実務、特に裁判では、様々な証拠から事実を確定していくという作業を行っていきます。
つまり、裁判官にならない法曹でも、どのような証拠を提出して裁判官を説得するか、そういう意味で事実認定というのが重要になってきます。
では、事実認定というのはどのように行うのでしょうか。
民事裁判でも刑事裁判でも、自由心証主義といって、裁判官が証拠に基づいて自由に判断していいのが原則です。
もっとも、自由を謳ってはいても、完全に自由であることを許容するものではなく、経験則と論理法則に基づいた合理的な判断が要求されます。
これに従わない判決は、上訴で破棄されます。
たとえば、売買契約を結んだのなら、売買契約書を交わすだろうという経験則があります。
ならば、証拠として売買契約書が提出されたのなら、売買契約を結んだであろうことが推定できます。
これはあくまで経験則ですから、例外的事情があれば、いくらでも覆ります。
売買契約の例では、コンビニでモノを買うときには売買契約書なんていちいち作りません。
税金対策のために、売買していないのに、売買契約書を作ることがあります。
なので、売買契約なんてなかったんだと主張する当事者は、たとえばこのような主張をして頑張ることになります。
長文になりそうなので、今日はここまでにしておきます。
司法修習生の増男です。
今日もいい飲み会日和でしたが、起案のせいで今日の酒はちょっとしょっぱかったです。涙の味で。
さて、今日は、あまり言及されてこなかった、司法修習生たちの恋愛事情についてお話ししましょう。
そのきっかけは、たいてい司法修習中に付き合って、てのが非常に多い。
まあ朝から晩まで一緒に過ごす修習の期間が2年もありゃ、くっつかないわけがないっていう話です。
最近増えてきた事例は、ロースクールで恋愛関係になって、そのまま修習に来るというパターンです。
かつても、勉強仲間同士で一緒に合格して、っていうのはあったんでしょうけど、合格率も合格者数も少なかったのでレアだったはずです。
今では、ロースクールでカップルで仲良く合格をもぎ取る羨ましい奴らが結構いてます。まあ片方だけが受かったという、^^;なカップルもいますが。
修習生同士のみならず、実務修習で裁判所や検察庁を回っているときに、職員さんと出来てしまうっていうのもよくある話です。
そう言われて見ると、修習生がお世話になる部署は若い職員が多かったような・・・。
こういった内部調達派も多いですが、外部に走る者も当然います。
若くして合格し、渉外事務所(初年度から年収1000万円以上が約束されている)に内定もらったやつは、女子アナ・スッチー・モデルと合コンしまくりw、みたいな話を聞いたことがあります。
そうでなくても、地方で普通のOLと合コンして、っていう人もいます。仲間にも何人かいます。
また、合格発表直後に、受験生活を陰で支えてくれた恋人と結婚、という泣ける話も少なくないです。
ともあれ、修習中に結婚すると、8万円のお祝い金と、新婚旅行に行ける権がもらえます。
なので、わざわざ修習中に入籍する人は多いです。
絶賛現実逃避中です。
さて、今日はリクエストのあった、新司法試験の出題趣旨についてコメントしたいと思います。
と思ったんですが、今年のは受けてないので、新司法試験について一般的なあたりを述べてみたいと思います。
旧試験は、大卒なら免除になる一次試験の後に、択一と論文からなる二次試験、最後に三次試験として口述試験がありました。
そして、択一の合格発表は論文試験前に出るので、択一対策と論文対策を分けて行うことが出来ました。
しかし、新制度では、一次試験と三次試験がなくなった代わりに、択一と論文を同日程で行うこととなりました。
そして、択一の出題範囲は、旧試験では上三法(憲法、民法、刑法)だったのに対して、上三法に加えて、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法も出題範囲に加わっています。
論文科目についても、行政法が加わっていて、さらに、専門性のある科目が選択科目として追加されています。
論文では、公法系、民事系、刑事系、選択科目について、それぞれ3~4時間かけて、超長文の問題を扱っていきます。
そして、ロースクール卒業後5年以内に3回しか受けられません。
よく、新司法試験の合格者は、旧試験の合格者より質が劣る、という言説が聞かれます。
実際に、今の司法試験の合格率は非常に低く、合格者が少ないので、質が高いのは間違いありません。
もっとも、以下のような事情もあります。
つまり、新制度では受験回数の制限があるので、記念受験などあり得ないが、旧試験ではそういう受験生が多い。
また、上述のとおり、試験自体が過酷になっていて、法律知識以上に、高度な情報処理能力が要求されている。
そう考えると、言うほど質が粗悪というわけでもないような気がします。
そして、質が低いの一例としてあげられている、2回試験の合格率の低下ですが、これもおかしい。
というのも、質が低いと言われ出したのは、司法試験の合格者が増え始めた時期ですが、これは同時に、司法修習の期間が短くなった時期でもあるのです。
また、かつては司法修習は2年間でした。それが現在では1年です。身につけるべき事項は、新制度の施行とともにどんどん増えていきます。
もっといえば、「弁護士と1度酒を飲みに行ったら就職が決まった」というようなかつての牧歌的な就職状況とは違って、現在では、弁護士業界は超氷河期です。
出来なくなって当たり前のような気がします。
今日は演習とプチ起案がありました。明日は即日起案デーです。
「起案」というのは,小テストのようなものですが,実際に2回試験に使われた問題が出題されますので,大テストと言うべきかも知れません。
100頁を超える事件記録を渡され,裁判起案であれば判決に必要な事項を起案し,検察起案であれば起訴相当である理由を起案し,弁護起案であれば裁判官に正義は我が方にあることを主張する書面を起案します。
朝10時から午後5時まで,途中昼食休憩を挟んで取り組むんですが,ほとんどの修習生は昼食片手に起案を続けます。
時間が圧倒的に足りないからです。
実務に出てから一日潰して起案することなんてないので,意味のない苦行だと言われることがありますが,知的瞬発力・論理構成力・文章力を試すのにはうってつけの方法だと個人的には思います。
さて,その起案の成績なんですが,必死に高順位を狙う人々がいます。
それは,裁判官志望者です。なんと彼らの就職活動は,驚くべきことに勉強そのものなのです。
それもそのはず,2000人もの修習生がいて,裁判官になれるのは50人~80人くらいしかいません。
昔は500人合格の時代でしたが,その当時から裁判官採用人数は大して増えていません。
どんだけだよっていう話です。
これまでも数回即日起案が行われたんですが,一度でも失敗すると裁判官の芽は摘まれてしまいます。
え,僕ですか?最初の即日起案でドロップアウトしてますがw
こんばんは,初めまして。
僕は司法修習生。去年の司法試験に合格して,現在修習中の身です。
司法修習生って何者だかご存じですか。
数年前に「ビギナー」というドラマがあったり,ここ数年司法修習生の質が低下したとか色々言われているので,知っているという方も多いかも知れません。
要するに,法曹の卵です。司法修習が終わると,一人前の法曹として,裁判官・検事・弁護士になります。
修習ではなにをしているかというと,もちろん法律の知識を広げるのもそうなんですが,それよりも,文書作成能力というものが問われます。
現在,寮で生活しているのですが,意外に寮の生活というのは暇でして,暇がてら,文章を書く練習を含めて,駄文日記でも付けようと思っています。
今日は集合修習の開始日でした。
先週まで僕らは「実務修習」といって,全国の地方裁判所・地方検察庁・弁護士会に配属され,実際の法曹の下について実務を勉強していました。
今日からは,全国から埼玉県和光市にある司法研修所に集合して修習しています。
司法研修所には,5人の教官がおり,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護,刑事弁護をそれぞれ教えてくれます。
いずれも実務を相当年数経験されたエキスパートで,僕たち修習生のことをいつも気遣ってくれる神のような人たちです。
彼らに教わりながら,2か月後に迫る「2回試験」に向かって,ひたすら勉強を続けるのです。
2回試験というのは,司法試験から数えて2回目の試験なので2回試験という,単純な名前です。
しかし,各科目丸一日を使って(昼飯の時間も使って!)起案をするというハードな試験です。
9割5分方合格する試験ですが,近年は司法修習生の質の低下だとかで不合格者が増えてきています。
迫り来る2回試験落ちに戦々恐々とした日々を送っています。