古今東西のあらゆる書籍が揃う書舗・弔とむらい堂を舞台に人と本との関係を鮮やかに描き出す京極夏彦さんの「書楼しょろう弔堂」シリーズがこのたび遂に完結。最終巻『霜そう夜や』の語り手を務めるのは、活字の元になる字を作ることを職業にしている甲こう野のです。 そこで、書体デザインの第一人者である鳥海修さんをお招きして、京極さんとの対談を敢行。本シリーズの魅力や明治期から現代に至る明朝体の変遷などを熱く語り合っていただきました。 構成/杉江松恋 撮影/大槻志穂 鳥海 京極さんと知り合ったのは二〇〇二年くらいじゃないでしょうか。 京極 僕が InDesign を使い始めた頃ですよね。鳥海さんが作られたヒラギノという書体を使うことができるようになって、喜んでいた時期です。 鳥海 初めてお会いしたときに、当時作っていた書体をお見せしたんですよね。京極さんがご覧になって「自分の仕事は、こういうふうに文字を作る