komura yukio 「数学は一つである」という標語がある、そうなのだろうか。むしろ、解析学は古典解析と近代解析に分かれ、この二つの間には断絶がある、とした方が分かりやすい。幾何や代数と結びつきが強いのは古典解析であり、この三つが「一つの数学」を形作っている。この考えを説明し、若い数学者の参考に供したい。(古典解析と近代解析) では現代の解析学、あるいは未来の解析学とはどういうものだろうか。これは最も意味があり、最も難しい問題である。ここでは私の偏見と独善の数学観を述べ、さらに私の研究目標を元に大風呂敷を広げて、その回答の代わりとした。若い人に私の研究を継いでもらいたい、という身勝手な思いもある。(数学観・目標) 数学には「言葉」としての機能があり、勝負事に似た面や、芸術的意味も有る。素人の方に向けて研究者の思いを説明したい。(比喩による説明) 数学は近代科学技術の基礎であり、社会はそ