少子高齢化に合わせて年金の給付水準を自動的に抑えるために2004年度から導入された「マクロ経済スライド」が完全に発動されていれば、16年度の給付水準は、実際の水準よりも5・0ポイント低かったことが会計検査院の試算でわかった。その場合、国の負担を累計で3・3兆円抑えられていた。 検査院は「給付水準の調整が適切に行われなければ、制度の維持に悪影響を与えかねない」としている。 マクロ経済スライドは、賃金と物価の上昇を前提とするため、デフレ下では発動されないルールがある。これまで15年度の1度しか発動されておらず、給付水準が高止まりしている。 検査院は、マクロ経済スライドによって給付水準が毎年度調整されていた場合の影響を分析するため、デフレ下でも完全に発動されたと仮定し、試算した。