太古の昔から、タールの沼に落ちた巨大な獣が死にもの狂いで岸に這い上がろうとしている光景ほど、鮮烈なものはない。恐竜やマンモス、それにサーベル・タイガーが、タールに捕らえられまいとしてもがく様が目に浮かぶ。激しくもがけばもがくほど、タールは一層絡みつき、どんなに力強い獣でも、また賢く器用な獣でも、ついには沈んでいってしまう。 大規模システムプログラム開発は、過去十年以上もの間そうしたタールの沼のようなものだった。そして、多くの強大な獣たちが、その中へ乱暴に突き落とされてきた。たいていは稼働システムを作り、這い上がってきたものの、目標とスケジュール、それに予算にかなったものはほとんどなかった。 規模の大小、また大量動員あるいは少数精鋭であろうとも、開発チームは次から次へとタールでがんじがらめになってしまう。問題を引き起こす原因は、一つだけではないように思われる。原因が一つだけなら、足のどれか一