【台北=田中靖人】日本統治時代の台湾に生まれ終戦で引き揚げた日本人「湾生(わんせい)」を題材にしたドキュメンタリー映画「湾生回家」のプロデューサーが経歴の詐称を認め、波紋が広がっている。自身を湾生の孫だと主張して宣伝に利用し、映画と同名の書籍も出版していた。 映画は台湾で2015年に公開されて話題となり、映画賞にもノミネートされた。プロデューサーの陳宣儒氏は「田中実加」を名乗り、内外のメディアに露出。映画は日本でも昨秋、公開された。 地元週刊誌が先月、陳氏の学歴や日本人の孫だとする経歴の疑惑を報道。陳氏は年末、出版社を通じて詐称を認め謝罪した。陳氏は「祖母」だとしてきた人物は実在の知人だと主張したが捏造(ねつぞう)疑惑は消えず、出版社は今月3日、書籍の払い戻しを開始。映画の監督が「映画中の人物は本物。田中氏は撮影に関与していない」と釈明する騒ぎになった。 文化部(文部科学省に相当)は、書籍