アジアなどコメを主食とする地域ではビタミンA欠乏症(VAD)による幼児の失明が大きな問題となっている。世界保健機関(WHO)によると、世界で年間に最大50万人の子供がVADが原因で失明、その半数が失明後1年以内に死亡している。 VADによる子供の健康問題を解決しようと開発されたのが、遺伝子組み換え米「ゴールデンライス」だ。黄金色をしたコメで、ビタミンAのもととなるβカロテンを合成する遺伝子が組み込まれ、食べると体内で必要なビタミンAに変換される。1食分で子供の1日の必要量の30~50%が摂取できるという。 フィリピンに本拠を置く「国際稲研究所」と「フィリピン農務省稲作研究所(フィルライス)」は約20年間、ゴールデンライスの開発・普及に携わってきた。フィルライス開発研究課のロナン・ザガードさんは「βカロテンはコメの味や香りに影響を与えない。ゴールデンライスを食べることで、野菜や果物を食べるの