【ワシントン=犬塚陽介】米アリゾナ州トゥーソンで8日に発生した銃乱射事件は、民主党の下院議員を狙った暗殺未遂事件との見方も出ている。犯行の動機や背景の解明が待たれるが、同州は保守的な土壌で知られ、不法移民対策法や医療保険制度改革をめぐり、保守、リベラル両派が激しく対立。米国の潜在的な「分断と憎悪」の象徴として取り上げられることも少なくない。そうした構図を、今回の事件は改めてクローズアップさせている。 米国では近年、レーガン大統領が銃撃された暗殺未遂事件(1981年)はあるが、現役の連邦議員が標的になった事例は乏しい。米紙ワシントン・ポストによると、78年に下院議員が射殺されたものの、滞在先の南米でのことだった。 アリゾナ州では、米国で最も厳しいとされる不法移民対策法をめぐる保守、リベラル両派の対立の火種がくすぶる。医療保険制度改革でも意見が割れ、所得格差や人種問題に根ざした双方の嫌悪感が拡