本なぜ、女性たちは電車の中で化粧をするようになったのか。それは単にウチ・ソトの区別がなくなったからではない。化粧そのものが変わったのだ。身だしなみというプライベートなものから自己表現というパブリックなものへと。電車の中で化粧する女たち―コスメフリークという「オタク」 書籍解説より上記のようなアオリに、私は同書のタイトルにある『電車の中で化粧する女たち』の心理が解き明かされる一冊であると期待して献本を申し込んだ。だが、その期待は見事な迄に裏切られた。同書はその殆どが80年代の「コムデギャルゾンやピンクハウス」のDCブランドからヴァンサンカンという雑誌の落とし子たる叶姉妹、そして中村うさぎへと変遷していく筆者自身の体験を通して語られる女性達のコスメフリークの時代を物語った一冊であり女性達が服ではなく「自分を磨く」事の手段として服飾ではなく、美容もしくは化粧へと傾倒していった理由を読み解きたいと