江戸時代後期に参勤交代で江戸に詰めていた鳥取藩士が、鳥取に残る妻に宛てた手紙が、鳥取市内の民家で見つかった。江戸での仕事や暮らしぶり、家族を思う気持ちなどがしたためられており、専門家は「江戸詰武士の本音が垣間見える貴重な史料」としている。(高山智仁) 手紙は、鳥取市内の個人が所有していた屏風(びょうぶ)の下張りにされていたのを、古文書の収集・解読を行っている同市の大沢邦彦さん(71)が5年ほど前に譲り受けた。 大沢さんによると、差出人は鳥取藩士・城戸左久馬(生年不詳~1853年)。1817~18年と23~26年の2回、8代藩主・池田斉稷(なりとし)の参勤交代に付いて江戸に滞在した際、妻のお力(りき)らに宛てて書かれ、返信も含めて約180通に上るという。 手紙では、冬場の公務の厳しさについて触れ、「綿入れを重ね着しているが、それでも寒い。手は赤く腫れ上がり、感覚がない」と記述。斉稷の妹が嫁い