かつて中国の大学生たちに人気があった日系企業だが、最近は就職先として敬遠されているという。尖閣諸島問題をはじめとする反日感情の高まりが、彼らを日系企業から遠ざけているのでは、と思うのは勘違いだ。ではなぜ、中国の学生たちは日系企業への就職を望まなくなったのだろうか。その理由は至極単純なもので、学生たちが、日系企業に入るよりも他の外資系企業や中国企業に就職するほうが、将来的なメリットがあると考えているからだ。 では、何が日系企業の魅力を下げているのだろうか。中国でも教鞭をとる帝京平成大学の渡部卓教授は次のように説明する。 「一昔前なら高い生産性や効率性など日系企業から学ぶことが多く、相対的に給与水準も高かったので就職先としての魅力があった。しかし、多くの日系企業はグローバル化と言っても名ばかり。研修体制も不十分で伝統的な人事労務管理が続き、リーマンショック後は給与も増えない。これらの状況が学生