【台北=吉村剛史】中国の海軍力増強に対抗し、台湾が米国から購入した対潜哨戒機P3Cの配備が始まった。台湾の国防部(国防省に相当)は10月上旬、中国軍が「2020年には台湾への全面的な侵攻能力を完成させる」との「国防報告書」を公表。経済を軸に対中関係の改善が進む中、引き続き軍事面での対中警戒感をあらわにしている。 配備第1機は9月25日に台湾南部・屏東の空軍基地に到着。10月31日に納入式典が行われた。老朽化が進む現行のS2T対潜哨戒機に代えて15年までに全12機を配備する方針で、台湾が太平島を実効支配するスプラトリー(南沙)諸島への投入案も浮上している。 中国は米国に対し、台湾に武器を供与しないよう圧力を加えているが、米国は台湾関係法を根拠に07年、計19億6000万ドル(約1920億円)で12機の売却を決定した。 隔年で公表される「国防報告書」は、中国との「軍事衝突の危機が依然、存在して