【ランペドゥーサ=前川浩之】内戦が続く中東シリア。その難民たちが、欧州に安住の地を求めて命がけで最初に目指す島が、イタリアにある。連日、数百人が上陸するが、大勢の犠牲者を出す転覆事故も相次ぐ。難民たちの救助作業に当たるイタリア海軍の揚陸艦に、記者が同乗した。■母と子、高齢者ぐったり 地中海に浮かぶ小島、ランペドゥーサ。176キロ離れたイタリアより、113キロ先の北アフリカ・チュニジアの方が近い島の沖合で、10月25日未明、計5隻の難民船が漂流しているのが見つかった。長さが20~30メートルほどの船に、それぞれ100~200人ずつ押し込まれていた。 直後のこの日午前、記者が同乗したイタリア海軍の揚陸艦サン・マルコ号が、計318人を救助した。乳飲み子を抱いた母親や、ボロボロのスウェット1枚をまとっただけの子ども、お年寄りの姿も目立つ。多くが、ぐったりと艦内の床に横たわっていた。