8月22日、韓国政府が日本との「秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)」を破棄するとの決断に至っ たことは、外交・安全保障にかかわる当局者や専門家に衝撃を与えた。GSOMIA破棄は今後の日本の安全保障にどのような影響を及ぼすのか。それを考えるには、これまでGSOMIAが果たしてきた役割を理解する必要がある。 軍事情報保護協定の役割 GSOMIAは情報共有枠組みそのものではなく、機微な軍事情報をやりとりする際の「情報保護」に関する取極である。具体的に言えば、「情報を受ける国(受領国)は、情報を提供する国(提供国) の了承なしに当該情報を第三者(国)に提供してはならない」とか、「提供された情報について受領国は提供国と同等の保護措置をとる」といった原則が規定されている。またGSOMIAがあるからと いって、互いの秘密情報が自動的に相手に流れたり、一方が相手の情報に無条件でアクセスできるわけではない