江戸時代、生活のために牛馬を飼うことは必要不可欠だった。農耕や運搬、戦など、様々な場面で牛馬を利用したのだ。電車も、バスも、車も、飛行機も、自転車もない時代。交通手段としても活躍したことは言うまでもない。だから、人々はより良い馬を手に入れたいという願望があった。 それに応えるべく16世紀に生まれたのが、博労(ばくろう)という職業。よい牛馬を仕入れて売る商人だ。今回はこの博労の暮らしや恋の実情を紹介したい。 博労は牛馬の取引で大活躍 博労の起こりは猿回し!? 博労を最初に始めたのは、猿回しを披露する「猿屋」という職業の人々。なぜ猿?と思われた方も多いだろうが、猿はもともと馬の守護神として信仰を集めてきた。そのため、猿屋はサルに芸を覚えさせて各家を周り、厩(うまや)にいる馬を祈祷して回ったらしい。それが近世に入ると、次第に博労や馬医を兼ねるようになった。つまり、猿屋は馬の祈祷をしていたがゆえに