全国各地を巡回し、650万人を集客した「人体の不思議展」が窮地に立たされている。厚生労働省が人体標本は「遺体」との見解を示し、京都府警が捜査を開始。展示会場近くの住人から慰謝料を求める民事提訴も起こされ、人気イベントは法廷にまで持ち込まれる事態へと発展した。主催者側はあくまで「学術目的」を強調するが、「死体ビジネス」との批判も根強く、今後さらに論議を呼ぶ可能性がある。 京都市左京区の市勧業館「みやこめっせ」で先月23日まで開かれた人体の不思議展。入場料が1500円と高額だったにもかかわらず、閉幕前には1時間超の入場待ちができる盛況ぶりで、同館には「もう終わったのか」「見に行きたかったのに…」との問い合わせ電話も寄せられたという。 献体された遺体をホルマリンに漬けず、シリコン、ポリエステル樹脂を染み込ませるなどの特殊技術で加工した標本が日本で初めて一般公開されたのは平成7年。日本解剖学会10