自衛官に適した年齢の住民として自治体がその個人情報を自衛隊側に提供する。だが、当の本人や家族に了承を得る手続きはない。 自分の預かり知らないところで個人情報が紙で自衛隊にもたらされたことに、ふに落ちない当事者は少なくないだろう。 沖縄、宜野湾の2市が自衛官の採用業務を担う自衛隊沖縄地方協力本部の依頼に応じ、住民基本台帳から自衛官適齢者として18~27歳未満の個人情報約2万4千人分の名簿を提供していたことが分かった。 提供されたのは氏名、生年月日、住所、性別である。県内市町村は住民基本台帳の閲覧は許してきたが、名簿提供は初めてだ。 右崎正博獨協大法科大学院教授は名簿提供が自治体の個人情報保護条例から逸脱するとの見方を示す。さらに提供の根拠となっている自衛隊法施行令をめぐり、国会審議もないまま、募集資料を求めることを可能にしたと指摘する。 自衛隊法を超えて、施行令が名簿収集の手だてを担保してい