⇒「 知の構築とその呪縛: 本: 大森 荘蔵」 昨日私がひどい風邪にかかったのは、昨日の惑星の位置とか、私を憎む誰かの呪いとかがウイルスの侵入に加えて働いていたからだ。これに対して現代科学は、それは真っ赤な誤りだということはできない。惑星や私の敵から私に何の物理作用も伝播していないということはいえよう。だがいかなる非物理的作用も働いていない、ということを物理的に証明することは論理的に不可能なのである。またそういうオカルト作用がなくともウイルスが侵入すれば私はまず風邪をひく、このことすら立証できない。そのときは常に何らかのオカルト作用が共働しているのだ、といえるからである。 現代科学はうんざりして、どうぞご勝手に、こちらは物理作用だけで用が足りていますから、とお引きとりを願うだけなのである。だから用が足りていない人、それもひどく用が足りていない人が呪力や魔力を進んで招じいれるのはまことに自然