名古屋市が進めている名古屋城大・小天守の木造再建は全国のお城ファンが注目する計画である。今回はその最新状況を記したい。 国宝だった名古屋城の天守群は本丸御殿とともに1945(昭和20)年5月の空襲で焼失した。14年後の59(昭和34)年に名古屋市は市民からの寄付を得て、天守群を鉄筋コンクリート造で再建した。これが現在、名古屋城に建つ大・小天守である。 ところが、現在の天守群は建設から60年以上を経て耐震強度に問題があると判明した。そこで名古屋市は天守群を耐震強度をもった木造で建て直す計画を立てた。それに対し、私も加わっている名古屋城の石垣部会は、城跡の考古学的調査や石垣の保全策が十分でなく、木造再建によって天守台や本丸周囲の石垣が壊れ、地下遺構を破壊する恐れがあると指摘してきた。 名古屋城は「史跡の国宝」にあたる特別史跡に指定され、整備や復元の許可権限は文化庁がもつ。2019(令和元)年秋