能登半島地震では、多くの墓が崩れたり壊れたりした。被災地では崩れた墓の多さに修理が追いつかず、「今年は崩れた墓に向かって手を合わせるしかない」とあきらめる人もいる。初めて迎える被災地の盆。地震でつぶれたままの寺の墓地で墓を再建することをためらう人や、人口減少を見据えた維持管理策として共同墓地を検討する集落もある。 (井上靖史) 「こんな状態になるなんて。せめて花だけでも供えて手を合わせたい」。盆が迫った8日、石川県珠洲市正院町正院の会社員寅口(とらぐち)隆さん(49)は自宅近くの寺の墓で合掌していた。 元日の地震で、つり鐘を覆う屋根が横倒しになった。隣にあった父らが眠る墓が直撃を受け、土台から損壊した。地中に埋めている骨つぼの中も見える状態に。ブルーシートをかぶせた上に屋根瓦を置く応急処置をした。