もう13年も前に『ボディ・レンタル』で文藝賞を受賞し、東大仏文科卒のSM純文学ということで話題になった佐藤亜有子が、昨年、五年ぶりの新刊『花々の墓標』を上梓した。しかし世間はまったくの黙殺である。 「オートフィクション」などと書かれているが、事実上、父親から性的虐待を受けていたことと、精神を病んでいることを描いたもので、解説が斎藤学なので、例のジュディス・ハーマン式「贋の記憶」ではないかと疑いつつ読んだが、私の判断は事実説に傾いている(説も何も、誰も何も言っていない。新聞記事を検索したがまったくヒットしない)。 恐らく2002年頃書いて、河出書房では刊行しなかったのだろうと斉藤は言っており、精神医学系の出版社から出ている。しかし、誰も何も言わないのは、父親がまだ生きているからだろうか。 実は私は、作中にも出てくる、父親からさらにひどい性的虐待を受けたとされている佐藤の姉なる人から、ミクシィ