青森県の摂取院で見つかった髪繍曼荼羅。大きさは縦82センチ、横76センチ=日沖敦子さん提供 仏教や密教の世界観を仏像などで表現した「曼荼羅(まんだら)」。その中には人の髪の毛で作ったという曼荼羅が現存している。江戸時代に無名の僧が全国各地で60以上も作り、歴史から消えていった。名古屋市の女性研究者が幻の作品を探して回っている。 「髪繍(はっしゅう)曼荼羅」と呼ばれる曼荼羅は、髪の毛を糸代わりにして布に縫い込んだもの。名古屋市立大学人文社会学部の研究員日沖敦子さん(31)=名古屋市=が研究に取り組んでいる。 4年前、研究のために出かけた京都の古本市で、髪繍曼荼羅の写真が入った絵はがきを見つけた。制作者は江戸時代の僧、空念(くうねん=生没年不詳)。関心を持ち、現物のある大分県宇佐市の極楽寺へ見にいった。縦120センチ、横84センチの布に、極楽浄土や阿弥陀三尊(あみださんぞん)が毛髪で描かれ