映画「母と暮せば」の音楽で、がん闘病から本格復帰を果たした坂本龍一。病を経ての人生観の変化から、音楽と政治の関係までを語り尽くした。かつての盟友・忌野清志郎に思いをはせ、「清志郎が生きていてくれないのは悔しい」と話す場面もあった。 ――「母と暮せば」の音楽が、病気からの復帰第1作となりました。 復帰後第1作になったのは、あくまで結果的なもの。どの時点で治るかなんてこともわからなかったわけですから。本当に幸運なことに、そういう結果になったということです。 40年以上ぶりに何も仕事をしない時間ができて、人生観も変わるところがあって。久々に音楽を書くということへの新鮮さもありましたね。 ――人生観が変わったということですが、どのように変化しましたか。 まあ、人生は短しじゃないですけど(笑)。色んなことにあちこち手を出すんじゃなく、自分にとって本質的なことを深くやらなきゃな、ということですね。僕は