8月11 大木毅『独ソ戦』(岩波新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 第二次世界大戦の帰趨を決めたのは、日米の太平洋での戦いでもノルマンディー上陸作戦でもなく独ソ戦であったことは多くの人が認識していることだと思います。 だからこそ、独ソ戦に関してはよく「歴史のif」が語られます。例えば、小説ではありますがスティーヴ・エリクソンの『黒い時計の旅』では、ヒトラーが対ソ戦を決断しないことでナチ・ドイツがヨーロッパを制圧している世界が描かれていましたし、作戦面に関しても、「ドイツが冬季の作戦にもっと慎重だったら…」とか「ヒトラーが作戦に介入しなければ…」といったような事が言われ、「第二次世界大戦においてドイツの勝った世界」という想像を刺激されるのです。 ところが、この本を読むと、ドイツにとって対ソ戦はヒトラーのきまぐれではなく必然であることがわかりますし、ドイツ敗北の理由も、ヒトラーの介入や冬の