大阪市内から車や電車で約30分。大阪府東南部に位置する富田林(とんだばやし)市は人口約10万7千人、江戸時代の雰囲気を残す国の重要伝統的建造物群保存地区「富田林寺内町(じないまち)」が広がる、豊かな自然と歴史が息づくベッドタウンだ。 そのターミナル駅、富田林駅と各地を結ぶ路線バスの運営会社「金剛自動車」が先月、今年12月20日でバス事業を廃止すると発表した。都市部から比較的近い地域での全15路線廃止は、衝撃的だ。 バスが運行されている4自治体は補助金交付などの支援策を持ちかけたが、同社は「根本的な問題解決にはならない」と固辞したという。「解決できない問題」とは、記者会見した白江暢孝社長が「もう限界です」と訴えた深刻な人手不足だ。 厚生労働省によると、バス運転手の平均年齢は令和4年時点で53・4歳。今後は大量退職が見込まれ、新規採用では補完しきれない。来年4月に運転手に残業規制が適用される「