無償の取引であっても、時価で取引を行ったものとして課税されるのが原則です。低額の取引であっても同様です。ただし、無償の役務の受領に関しては、特に課税が行われません。 会社が無償で取引を行った場合、会社には「もうけ」は生じません。しかし、法人税の世界では、会社が無償で取引を行った場合であっても、会社に「もうけ」が生じたものとして法人税を課します。たとえば、会社が保有する有価証券を無償で第三者に譲渡した場合、会社に対価の流入はありませんが、所得金額の計算上はその有価証券を時価で譲渡したものとして取り扱うことになります。 なぜ、このようなことが可能なのでしょうか。その論拠は、法人税法22条2項にあります。法人税法22条は、所得金額の計算に係る基本規定ですが、2項で「無償による資産の譲渡」によっても収益が生じる旨を規定していることから、対価の流入がなくても、収益が発生したものとして、所得金額の計算