コーシャ認証を取得した舩坂酒造の「深山菊」を手に笑顔のエドリー(中央左)と有巣(中央右) COURTESY OF BINYOMIN Y. EDERY <「日本のシンドラー」杉原の功績で岐阜はユダヤ人観光客にとって特別な土地に、地元も「コーシャ認証」の日本酒で彼らを歓待する> 岐阜県高山市。市場の裏手にある居心地のいい酒場で、筆者は舩坂酒造店の有巣弘城社長(36)と一緒にグラスを掲げた。つがれているのは、ユダヤ教の戒律に基づく食の規定「コーシャ」の認証を得た特別な日本酒だ。 「カンパイ!」。こちらが日本語で言うと、有巣は目を丸くして、満足そうにヘブライ語で応じた。 「ルハイム!」 よき酒があれば言葉の壁も文化の壁もどこへやら。そんな光景と言えなくもないが、実はこの乾杯は、「日本のシンドラー」と呼ばれた杉原千畝の功績に由来する。 時は第2次大戦中、1940年のこと。リトアニアの日本領事館領事代