新型コロナウイルス禍に出口らしきものが見え始めたとたん、国民全体をPCR法その他で検査し、感染が疑われる人を隔離することで経済を立て直そうという提言が出てきた(小黒一正・関山健『新型コロナ・V字回復プロジェクト~「全国民に検査」を次なるフェーズの一丁目一番地に』5月)。 提言は、今の日本の問題は、ウイルス禍に対するに「命か経済か」の二者択一から離れられないでいるところにあるとする。だから、ここで大きな経済資源を投じて国民全体を検査する体制を整備し感染者を完全に隔離する体制を整えれば、非感染とされた人は安心して経済活動にいそしめるはずだ。つまり「命も経済も」という出口があるはずだ、そう主張するのである。 だが、すでに反論として書いたように(『「自由」を危機にさらす「全員PCR検査論」の罠』)、筆者はこれに反対である。理由は、検査と隔離だけでは感染爆発を止められないだけでなく、こうした提言が実