かつて京都は方向音痴のユートピアでした。なぜでしょうか。方向音痴が道に迷うのは東西南北が分からないためです。しかし京都にはかつて、街の東・西・南・北に分かりやすい目印がありました。これなら方向音痴でも道に迷う心配はありません。「そうだ平安京、行こう」――。 最寄り駅から新幹線に乗り込みます。「そうだ京都、行こう」。京都駅に着くと、タイムトリップ(時間旅行)用の特別列車、「平安京」号に乗り換えます。車内では、現代の「京都マップ」と延暦13年(794年)ころの「平安京マップ」を重ねた、1枚の地図が配られました。 地図には淡い緑色で京都御苑、二条城、京都駅など現代の施設が記されています。その上に、「平安京」の外郭と、大内裏の「平安宮」と、メインロードの「朱雀大路」を淡い朱色で重ねました。平安宮は二条城の北西に位置し、朱雀大路は現在の千本通とほぼ重なっています。 平安宮(大内裏)には、内裏(皇居)