「除染すると土地がやせちゃうのかな。稲の発育が悪いなあ」。白い防護服を着た人たちが農作業をしながらつぶやいた。福島県大熊町が放射線量の高い警戒区域内に設けた試験栽培施設。表土を削って除染した農地と草刈りだけの農地とで作物を比べ、放射性物質の量を測る初の試みだ。 地元出身の農家の手を借りて6月に16平方メートルの田んぼ2枚に作付けし、畑に野菜を植えた。近くの高台からは福島第一原発にクレーンが林立している様子が見通せる。水の管理は作業員への放射能の影響を考えて週1回。野生動物に荒らされないように周囲に電気柵を巡らせている。 試験栽培に協力している農家の長谷川勘一さん(68)は「おいしい米がとれていたんだけど、今回は作っても食べられない。孫の代にでも米作りができるようになればうれしいけど……」と言葉少な。収穫した作物は9月中旬以降に検査する。 警戒区域が一部で解除された川内村では、販売再開をにら