新妻にありがちな失敗のひとつに、記名するとき旧姓を書きそうになる、というのがあって、嬉し恥ずかしの瞬間である。挙式からもうすぐ半年が過ぎようとし、いいかげんその手のかわいらしさも薄れつつある今日この頃、油断していたらやってしまった。試薬の瓶にラベルを貼っているときのことである。 どこの研究室でもそうだと思うが、試薬の瓶にはふつう「試薬の名前と濃度・つくった年月日・つくった人の名前」を記したラベルを貼っておく。たとえば「5M NaCl、050711、Niizuma」といった具合。ちなみに5Mは5モル/リットルという濃度、050711は’05年7月11日を表す。人によると思うが、私は名前もローマ字表記する癖がついている。 このように一連の決まり事になっているため、半ば無意識に手が動くらしく、050711と書いた直後に、すらすらと旧姓を記してしまった。 ひとりで顔を赤らめつつ訂正したが、慣れとは