──本作の主な素材となった8年間の記録を続けた動機は何だったのでしょうか。 自分の身に起きていることを記録すること自体は、それほどつらい作業ではありませんでした。ただ、約450時間にも及ぶ映像や音声を編集する過程は、サバイバーとしてはとても困難でした。記憶から抜け落ちていることも多く、それらを追体験することは、閉じかけていた傷口を開き洗うようなつらい作業でした。 一方で本を書いたときとは異なり、映画製作には編集者やプロデューサーなど、少人数でもチームがいます。私のプライベートな瞬間をとらえた映像など、個人的には使いたくないものもありましたが、それを残すかどうかの判断をチームで話し合えたのは大きなサポートになりました。本作をチームで作り上げられたことも、私にとって大きな意味をもっています。 この1年間、映画とともに世界中をめぐり、さまざまな観客と繋がり、想像もしなかった素晴らしい評価をいただ
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