バブル崩壊後、多くの企業は過剰な経営資源を抱え、事業の再構築いわゆるリストラを迫られていた。 当時の日本の企業のリストラ策は人員削減に傾斜しており、まるでリストラ=首切りであるかのような言葉の誤用がまかり通っていた。 労使協調路線が根付いていた労働界では、概ね経営側のリストラ策には協力する姿勢を見せたが、この時の妥協の仕方が問題であった。労組は現組合員の雇用と生活水準の維持を優先し、経営側に採用抑制による自然減による人件費削減策を求めたのである。経営側は本来、団塊の世代が管理職層を占め頭でっかちになった組織のスリム化を望んでおり、中高年層の早期退職を優先したい考えであったが、労使協調の中でそこまでは求めなかった。 また多くの企業で賃金水準の見直しを行ったが、既存社員の賃金水準を大幅に下げることはできるだけ避け、これから昇給する際の昇給幅を押さえ、将来の賃金を抑制するという方針を採り、組合の