昨年、新型コロナで急逝した「笑いの王様」志村けん。本書は、1994年から7年に渡ってその付き人を務め、朝から晩、海外ロケまで同行した著者が師匠の姿を振り返ったものである。運良くドライバーとして採用された若き日。「笑いは正解のない世界だから、俺から教えることは何もないぞ」という師匠に出会い、二人はどう交わっていったのか。 本書を読んだのは発売直後。今から1か月前だ。私はいわゆるドリフ世代で、毎週「8時だヨ!全員集合」を楽しみに観ていたこともあり、熱量を持って一気読みした。でもHONZにレビューを書くのには躊躇いがあった。最終的に書き始めたのは昨日、命日前日の午後だった。昭和・平成の芸能史を彩った傑物の類まれなる人物伝として、紹介することに決めたのだ。 書くことに決めた理由はもう一つある。この1周忌を前に、追悼特集を組んだ雑誌が店頭に多数並んでいる。BSやCSでは出演番組の再放送も組まれている