閑散とした同駅からさらに20分ほど歩くと、82年前にナチス政権が「平和の村」として演出した場所が見えてくる。ここは、ベルリンオリンピックのために建設された、かつてのオリンピック村だ。 同オリンピック村跡地は、一見するとただのさびれた運動公園。「オリンピック選手村」の華やかさは少しも残っていない。グラウンドの芝生は暑さでところどころが枯れており、サッカーゴールはさびている。加えて、敷地内に人の姿は見当たらない。よく見なければ、ここがオリンピック村跡地かどうかも分からないほどに寂しい雰囲気だ。 現在、跡地の一部はツアーガイド付きで一般に公開されている。筆者がこの見学ツアーを利用して同地を訪れたのは7月下旬。見学ツアーは敷地の内側を一周するコースだった。スタート地点横の体育館から始まり、プール、宿舎、食堂、トレーニングルームのあった建物を周り、人工湖の跡地で終わる。どの場所も手入れが行き届いてい
